リベンジトリートメント【毎週ショートショートnote】
新しい彼女ができた。
おれ四十五歳、ようやく結婚にこぎつけられそうな雰囲気だ。
前の彼女はおれの白髪を「年寄りみたいでイヤ」と嫌っていたので、白髪染めのトリートメントを使うことにした。
継続して使うと自然に黒く染まっていくという。
あいつなんか見返してやる。リベンジだ。
ある日、新しい彼女が洗面台で――部屋に上がるようになったのさ――例のトリートメントを見つけて手に取った。
「これ使ってるの?」
「そうだよ。若々しく見えていいだろう」
すると彼女は意外にも顔を曇らせた。
「なんだか、ごまかしてるみたいでイヤ。白髪染めなんてやめて」
「ええっ」おれは絶句した。「でも、白髪頭を見て嫌いにならないか?」
「何歳なのよ。白髪、あって当然でしょ」
彼女は微笑んだ。
それから、例のトリートメントは洗面台の隅でほこりをかぶっている。
実は定期購入してしまったので、毎月届くのを必死で隠している。
しかも、割引率の高い一年縛りだ。
どうしよう…
(409字)
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お題「リベンジトリートメント」
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