ジンジャークッキーイブ【毎週ショートショートnote】

クリスマスが近づき、オーナメントの入った箱が出され、ツリーへの飾り付けが始まった。
「ほっほっほ」古参のサンタ人形が笑う。
オーナメントたちが次々に飾られていく。

リースの中のジンジャーマンクッキーが、ツリーに向かって手を振った。
「やあ久しぶり！」

去年のクリスマスの後、星形のオーナメントがひとり、収納されるのをいやがって飛び出した。
正月にはやっこ凧の形、春には梅の花から桜の花、夏にまた星形に戻り、海のヒトデになり、秋にはもみじ、そしてジンジャーマンに変身して飾られ続けてきたのだ。
「元気そうだね！」

その時、この家の子どもが
「あ！ジンジャーマンだ、食べちゃおう」
と手を伸ばし、彼をつかもうとした。

ジンジャーマンはリースから飛び降り、走って部屋の外に逃げる。
「つかまえてごらん！」
「待て～」
子どもが追いかけていった。

クリスマスイブの夜。
「あいつ、とうとう外の世界に行ったな」
オーナメントたちは彼が心配で、でもちょっとうらやましい。

（412字）

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お題「ジンジャークッキーイブ」

一年前に書いたこの話の続編です。

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【今日のイラスト】みんなのフォトギャラリーから。
「ジンジャーブレッドマン」で検索。
これを見つけたので、ジンジャーくんはツリーではなく、リースに飾られている設定にしました(^^ゞ