レトルト三角関係【毎週ショートショートnote】
「今度カラオケ行きましょうよ~」
ミカは中村から伝票を受取り、ニコニコして体を寄せる。ほのかなオーデコロンの香り。
「中村さん何歌うんですか?ヒゲダンとか?」
ミカは上目遣いに中村を見たり伝票に目を通したり。髪がさらさら揺れる。
「いやヒゲダンは難しいよ」
中村の口元がゆるむが、お前の運命の人はミカじゃないぞ。
先月は経理部の高田、今度は営業部の中村。
ミカ、社内で愛想をふりまくのはやめようよ。俺という彼氏がいるのに。
「でも楽しい人だから」
ミカは全然悪気なく、中村と二人でカラオケに行く。中村は気をよくしてディナーに誘い、ミカが軽いノリでついていく。俺がしびれを切らしてレストランに乗り込んで、三角関係が発覚する。
でもミカは俺をないがしろにするわけじゃない。それがまた憎らしい。
ほとぼりが冷めたころ、ミカはまた誰かに愛想よく話しかけ、そいつの気持ちが温まって、熱くなって、すぐ三角関係ができあがる。
まるでレトルトを温めるみたいに。
(410字)
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毎週ショートショートnoteに参加しました。
ミカちゃんにはモデルというか、参考にした方がいて、名字は思い出したけど下の名前が思い出せず、とりあえずミカちゃんにしました。
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【今日のイラスト】みんなのフォトギャラリーから。
「レトルト」で検索。
こんなに次々とレトルトが並んでいたら、ミカちゃんの彼氏も大変だ(大きなお世話)。