なんでもない日常の思い出
違う世界からきた人との夫婦生活は大変です。私だって、生活の生業がなくなって、一文無し。そこに、違う世界から落っこちてきた人との生活をどうやっていきましょうか。
今あるのは、詐欺師に用意してもらった家と、身一つしかない彼。どうやって生活しようか。
ねぇ、何か働かないと、暮らしていけないよ。今まで、どんな仕事してた?
6000億の資金を、うんぬん、ジョージソロスと、うんぬん、300億の、、、
あー、わかった!今、その仕事無理!無理だから普通に働こう!特技をいかしてさ、肉体労働でもいいからさ、、
肉体労働?そういうのは、やったことないなぁ。
じゃあ、企業買収の知識を活かして、就職したら?
俺顔が売れすぎてるから、あの業界はちょっと、、
高額美術品を買ってもらえるルートごとまるまる無くしてしまったから、何にも食べていけません。
わかりました!私が働きます!
魑魅魍魎の世界から、中国に子供のおむつやミルクを日本の問屋から横流しする仕事をみつけました。法律には定植しませんが、メーカーの網目をぐぐった、隙間ビジネスです。
全国の問屋ルートから、コンテナで中国へ、生活ができる程度は、お金を手にするようになりました。
青山の裏の方にある小さなマンションを借りました。壁が薄くて、夜中になると、水商売のお姉さんたちの、カツカツと、パンプスのかかとで奏でる音が響き、
やけに物価だけ高く、生活に不便、元気のないトマトしかおいてない、小さな八百屋で、これ、ちょっと古くない?と、いったら、
うちは、店で熟成させてるんでね。と、訳のわからないことを言う店しか周りにありません。
そんななか、彼が、買い物にいってくるといい、出て行きました。
四階の、エレベーターのない狭い、無意味なデザインマンションで、部屋にいると、
下から、ダン、ダンと、ゆっくり地響きみたいな音が聞こえるので、
?なんの音だろう?足音?
だんだんその音は近くなってきます。
そのゆっくりした重々しい足音が、玄関の前でとまり、ギーっと、ドアが、開きました。
水が安売りしていたんだよ。
どさっ!箱が次々運ばれてきます。
6本入りの1.5リットル箱を、二箱一つにまとめ、両腕に1セットづつさげ、さらに二箱はそのぶるさがった手で、胸にかかえられています。
よくまあ、こんなものを持って、四階まで上がってきたものです。
あー、重かった!みんなにみられたよ!一箱500円以下だった。と、汗だくで嬉しそう。
主夫感覚、だいぶ着いてきました。