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夏休みの宿題を計画的に終わらせる方法って? 『こども行動経済学』を一部無料公開!

子どもたちが待ちに待った夏休みが始まりました!

子どもにとってはワクワク楽しみいっぱいの夏休みだと思いますが、宿題が多くて大変そう、我が子はちゃんと夏休み中に作文や自由研究など難易度の高い課題を仕上げられるのか…親御さんにとっては心配の絶えない期間でもあります。

親世代の皆さんも子どもの頃、毎年早めに宿題をやったほうがいいと頭ではわかっていても、ズルズル後半までずれ込んでしまったという経験はないでしょうか?

今回は、なぜ夏休みの宿題が上手く進められないのか、「行動経済学」の観点から考えてみたいと思います。

「行動経済学」とは、人が社会生活を送るうえで、どのように損得を考えて行動するかを研究する学問のこと。

人間は、頭ではわかっているのに、自分の本心とは裏腹の非合理な行動をしてしまうことがあります。例えば、食べ過ぎれば太るとわかっているのに、目の前にケーキがあると食べてしまいます。勉強をしないとマズいとわかっているのにYouTubeを見てしまいます。

一体どうしてこのような合理的でない行動をとってしまうのでしょうか?

その理由として、人間には、未来の大きな利益より目の前の小さな利益の誘惑に負けてしまう、「現在バイアス」と呼ばれる思考のクセがあるからです。

夏休みの宿題の場合も、早めに終わらせれば残った夏休みをエンジョイできるのに、「現在バイアス」によってついつい先延ばしにしてしまうのです。

バイアスの影響を受けずに合理的な意思決定をするには、どんなバイアスがあるかを知り、自分にもバイアスがあることを受け入れることが必要です。

今年の夏休みの宿題を計画的に終わらせるのはどうしたらいいのか、「行動経済学」の観点から、親子で一緒に考えてみませんか?

『こども行動経済学』

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『こども行動経済学 なぜ行動経済学が必要なのかがわかる本』
ページ数 128
判型 A5
定価 1,430円(税込)
ISBN: 9784862556523
出版社 カンゼン
発売日 2022年7月15日

P62-63 人間を非合理にする「バイアス」ってなんだ?

人間を非合理にする「バイアス」ってなんだ?

<人間の思考のクセが「バイアス」>

英語で「傾向」「先入観」という意味の「bias」を、そのままカタカナにした「バイアス」は、簡単にいえば、「思い込み」のことです。

いくらあなたが「思い込みなんてしない!」と思っていても、人間はさまざまなバイアスに陥るものです。おそらく、あなたも根拠のない思い込みや先入観、決めつけをしていることがあるでしょうし、バイアスによって、合理的ではない判断をしてしまっています。

たとえば、夏休みに入ってすぐのころに「宿題は余裕で終わる」と考えてしまうあなたは、バイアスのひとつ「計画錯誤」に陥っている可能性大です。

<人はさまざまなバイアスに陥りやすい!>

ここにあげたバイアスは、だれもが陥りやすい「思い込み」や「誤解」みたいなものです。これでも一部なので他にどんなものがあるのか自分で調べてみましょう。

■現在バイアス
人は目先の利益に飛びついてしまいがち

■現状維持バイアス
人は面倒くさがりやなので、新らしいことをするより「今のまま」がいいと思いがち

■確証バイアス
人は自分を肯定したいので、自分にとって都合のいい情報ばかりを集めてしまう

■同調性バイアス
みんなと同じだと安心してしまう

■希少性の原理
なかなか手に入らないものに、人は価値を感じてしまう

■計画錯誤
人はどうしても楽観的な予想を立ててしまいがち

■アンカリング効果
一度見た基準が、判断するときの基準になって引っ張られてしまう

■極端回避性
なんとなく人は「真ん中」を選びたくなる傾向がある

■サンクコスト効果
お金や時間をかけたものは、途中でやめるのが惜しくなる

■フレーミング効果
同じことを言われても違った言い方をされると印象が変わってしまう

■保有効果
自分が手に入れたものや環境は手放すのが惜しくなる

P74-75 楽観的に考えてしまう「計画錯誤」

楽観的に考えてしまう「計画錯誤」

<自分の予測はだいたい当てにならない!?>

何かをするときに、「これぐらいには終わるな」と予測をしても、その予測どおりにいかないことが多くはないでしょうか。もしかしたら、「どうしていつも予測どおりにいかないのだろう」と悩んでいる人もいるかもしれません。

夏休みの宿題はその典型です。夏休みの終わりに近づくと、計画どおりに宿題をやらなかった自分を恨み、「来年はもっと計画的に宿題をやるぞ!」と心に誓う人も多いはずです。

それでも翌年になると、「夏休みは長いから、まだやらなくても大丈夫 」と思ったりして、また同じことを繰り返します。このように楽観的な予測や計画を立ててしまうのが「計画錯誤 」です。人は「理想的に進むことを前提に計画を立ててしまう」傾向があるのです。

それを避けるには、自分がいつも「計画錯誤」によって予定どおりに進められないダメな部分があることを認めることです。そのうえで過去の自分を振り返って、実際にどうだったかをよく思い出してみましょう。

「今は3日で終わると思っているけど、結局、だいたい予想の2倍以上の時間がかかることが多いから、6日はかかるな」といったように、自分なりの対策を考えるようにしましょう。

【監修者プロフィール】

犬飼佳吾(いぬかい・けいご)
明治学院大学経済学部准教授

1981年、長野県松本市生まれ。北海道大学大学院文学研究科博士課程修了。博士文学。日本学術振興会特別研究員PD、エコール・ポリテクニーク(仏)研究員、大阪大学社会経済研究所講師を経て、現在、明治学院大学経済学部准教授。専門は行動経済学、実験経済学、ニューロエコノミクス。大阪大学賞、第3回ヤフー株式会社コマースカンパニー金融統括本部優秀論文賞受賞(行動経済学会)。実験社会科学の手法を用いて人の社会性の起源に迫る研究を行なっている。

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