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海外在住者の罪悪感と罪滅ぼし 「代理・母」をたてる 110/360

ごきげんよう、観世 (かんぜ) バタコです。


さいきん、バタコの記事にも頻出しているお友達のジョーさん70代テキサス出身、1年半前に旦那さんを亡くしたロンリーハートな女性、だけど・・

  ※コチラがジョーさん初登場記事(2018年10月)
   noteではコチラコチラで詳しくお話ししています。

バタコってどうしてジョーさんとおともだちなの?

メインの理由は「ウマが合うから」「話が合うから」

  ※バタコのさいきんの持論なのですが
   海外移住者は、現地人とよりも
   同じく海外出身なヒト (移住組)と気が合う可能性が高いかも。
   たとえばイギリス人は超速のイギリス英語で「恋バナ」とか
   「ゴシップ」とかをネイティブの言い回しやスラングたっぷりに
   語り合うのが楽しいんだろうし。
   ちょっと、「第2言語習得組」にはついていけないところある。

  ※あと、細かい設定だけれど
   「イギリスのある側面に魅かれ移住し定住している」けれど
   「イギリスのすべてがイイと思ってるワケじゃない、
   自分の故郷と比べてあそこがイケてない、と思うことや
   祖国が恋しいことだってある」
   というバックグラウンドをあらかじめ共有している、
   のも移住組の特徴。話が早いのです。

ですが、実は隠れたもうひとつの理由もあったのです。
そしてそれはバタコもうっすらとした罪悪感とともに自覚してました。

先日、彼女にもちゃんと告白してスッキリしたので
コチラでも白状しておきます。

バタコはどうしてジョーさんとおともだちなのか。ulterior motive (裏に隠された動機)は何なのか 




ソレはですね・・


ズバリ言いますと、
自分の両親を日本において飛び出してきた娘バタコの「罪滅(ほろ)ぼし」です。

バタコには1歳年下の弟がいて、彼は (海外逃亡したバタコと違って) まともな青年で、別に「親への恩義だけ」で生きていたわけではなく、自らの人生を謳歌しつつも、その一方で
「割と若いうちに結婚し、(両親にとっての) 孫を2人授け、ちょくちょく田舎の実家に帰っては、農作業を手伝ったり、コドモたちに田舎体験をさせる」
という、親にとって自慢できる息子でした。
    ※バタコの母の実家は農家で、バタコと弟も子供の頃から
    鹿児島市内から祖父母宅に繰り出しては農作業を経験。
    それは「食育」というような観点なども含めた親の方針でした。
    ただなぞったというより、似たような価値観を共有してたから
    弟夫婦もそうやって孫を連れ帰るようになったんでしょうけどね

バタコが海外に出てきたときには既に弟夫婦は子持ちだったので
バタコとしては (やや) 気楽に、
「孫たちとうまくやってね、悪いけどアタシはずらかります・・」

というノリでイギリスにやってきたわけなのですが

不運なことに弟は4年前にスポーツ競技中の熱中症で亡くなってしまい
    ※たしか2年前にもロンドンマラソンで1名死者が出ています。
    確率は低いですが、有り得るハナシのようです。

現在のバタコは実質「ひとりっこ」状態。

弟の葬儀からの帰り (授乳中だった次男とともに) タクシーの窓から見慣れたイギリスいなかの景色を見た時、いつもだったら「あぁ帰ってきたな」という安ど感をおぼえるところが、急に「別世界を見ているような、妙によそよそしい距離感」に置き換わっていたのがまだありありと思い出されます。ここに帰ってきてよかったのだろうか、と砂を噛むような・・


その後、地元にて「ホームヘルパー」としてしばらく働いていたのですが
雇い主は超零細派遣業者。夫婦でそもそも海外からホームヘルパーとしてイギリスに (ほんの数年のつもりで) 渡ってきたあと、結局ずっとイギリスに暮らし、今ではホームヘルパー派遣業者として開業してしまったという夫婦。奥さんはアナさん旦那さんアンブロジオさん。(アナさんはバタコがイギリスに来てはじめて「親友」と呼びたい間柄になった大切な女性)
 アナさんと知り合って1年後には、ポルトガルに住むお母さんが急にがん宣告を受け、数週間以内に亡くなるという出来事がありました。
 その時、言ってたこと、同じ海外出身者として胸に迫るセリフ:

「私はイギリスでこうやってお年寄りの世話をしている。
(日本もそうだと聞いているけど) ポルトガルでは
ましてや両親の出身地であるアフリカのカーボヴェルデでは
実の子供が親の世話を見るのが一般的。

なのに、私はイギリスで他の人たちの面倒を見ている。
・・コレで良かったのだろうか。」

アナさんは、その2年後に話を聞いた時にも「いつかは必ずポルトガルに帰りたい。あんな風に、ほとんど世話もできないまま今度は父を亡くしてしまうのは耐えられない」と語っていました。

   ※とはいえ、単純ではない話です。ポルトガルに帰って2人の子供は
   なじめるんだろうか。どんな仕事で収入を得るのか?など
   また、さすがに子供たちが高校生くらいになってしまうと
   そのままイギリスで進学した方が・・という流れになってしまいそう
   あまり時間は残されていないのですが・・

この辺りはバタコにとっても他人事ではない話です。


つい話が大きくなってしまいましたが、コチラの記事でも書いたように

バタコは、介護の仕事を通じて
「遠くの親戚よりも近くの他人」
はまさに真だと思うようになりました。

後ろめたさが全くないわけではないのですが、バタコは両親を日本において
イギリスに住んでいます。

そのイギリスで、ホームヘルパーとして働いて
主に何をしてたかというと、介護の実務よりも何よりも
「こんにちは」と顔を出して、世間話をする
それが仕事のエッセンスみたいなものでした。

そうなんです、ただ近所に住んでいる他人という縁。

それが、日常的に訪問できない距離にいる血縁よりも
実はずっと有効に機能している、と
肌で感じました。

それを踏まえて、バタコは、
「ジョーさんを、自分の母親代わりに思って、メールの送受信のやり方を教えたり、ちょくちょく顔を出して、落ち込んでないか確認したり、お茶飲んだりランチしたりしてる」
のだという自覚が、ここ数か月で生まれてきていたのです。

ジョーさんには成人した娘3人と孫5人が居ます。別に代理娘なんて要らないんです。でも、

娘たちはイギリスのほかの地方に居て、訪問には数時間かかるし
仕事もあれば子供たちの学校もあり、身軽とは言えません。
娘さんのひとりはオーストラリアで家庭と仕事を持っています。

娘たちにとって、お父さんの亡くなった後の母を慰めるというのは、つらい、やりたくないシゴトなのではと想像されます。

ジョーさんはしょっちゅう泣きます。バタコも涙もろい方ですので「もう、しっかりしてよ、そんなにいちいち泣いてたらこっちだって辛いじゃない」
なんて思わないですし、

多分ジョーさんも、娘の前では思うかもしれない「他人の前で涙をこぼして、気を遣わせるのは良くない」などとはバタコを前にして思わないのでしょう。

そう、この「他人同士」の距離感が、お互いにとても都合が良いのです。


バタコの母は、バタコが一生かけても追いつかないような良き母であり良き娘で、自分の母 (バタコの祖母) を、夫 (バタコの祖父) の亡くなったのちの20年近く、車で1時間程度の道のりを頻繁に通い、かいがいしく世話しました。ただしバタコは母に「私たちの世話を見るように」などと言われたことはありません。

バタコの母と祖母は、もちろん強いきずなで結ばれていたけれども、しょっちゅう火花散らす言い合いなどもしておりました。

「罪悪感」は一筋縄ではいかない感情ですが、バタコは「できれば持たない方がいいお荷物」と感じていて、こうやってジョーさんとお友達しながら、罪滅ぼししてるのです。


最後に、よそのお宅の親子関係について読んでたら、
こちらの「イイ話」↓↓↓ に

■恩義は何も特定の人に返さなくてもよいのだ
■善意がまわりまわる世の中だと信じたいし、
たまたま自分が助けて差し上げられる星回りの人に出会ったら、
誠心誠意、対応したいものだ   ←ペイフォワード、とも言いますね
                 こちらの記事でも書いてます
■いつか誰かが、自分の家族や大切なヒトを助けてくれることがきっとある

という、バタコの「日本人ぽい世界観 (仏教のような神道のような儒教のようなmix and matchな) 」が (勝手に) 支持されてるような気がしました。
(勝手に) ほ~らやっぱりね、みたいな。

  ※mix and matchは例えばピンクのパジャマ上下と紫のパジャマ
   上下を入れ替えて、ピンクの上着に紫のズボン、みたいに
   コーデするような発想。



ちなみに・・

バタコの母にはジョーさんのことは白状してません。
都合よく解釈してるだけ、って思われちゃうかな~


アナタはご両親とどんなご関係ですか?


<PS>ここまでバタコの持論を展開した後に、全くベクトルが異なるハナシで恐縮ですが、カナダに移住した日本人女性の両親が、退職後に娘と同じカナダの町で第2の人生を始めたエピソードを読んで感銘を受けた時の記事はコチラです。「スープの冷めない距離」は、正直とても魅かれる・・


*********************************************************************************■関連記事:ジョーさん初登場記事 (2018年10月)

■関連記事:ジョーさんと「看取り」について語った

■関連記事:一人暮らしの老親に持って欲しい?勇気のハナシ

■関連記事:バタコが思う「ペイフォワード」な寄付

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