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【時を数十秒だけ止めている感覚】
「ボタン一つで時を操作しているのかもしれない!」
不思議な感覚に襲われる瞬間がある。共感してくれる人はどれくらいいるだろうか。4車線の国道のような太い道路に交差する横断歩道を渡る時の話。
青と赤の時間間隔が設定されていて決まったタイミングで歩行者信号と自動車の信号が変わる場所であれば何も問題ないのだが、押しボタン式だと厄介だ。ボタンを押すことを躊躇ってしまうことがよくある。タイミングが良ければボタンを押さずに渡ってしまいたい衝動に駆られる。
なぜなら大勢の自動車の流れを止めてしまうから。自分が交通マナーを守って安全に渡るためには必要な手続きだとは認識しているが、これって結構影響力が高い。
自分ひとりがボタンを押して信号の色を変えるというこの行為が、止められてしまったその他大勢の自動車にそれぞれ乗っている大勢の人達の人生を数十秒だけ操作しているような感覚になる。
自分がここでボタンを押さなければ、同時刻にもっと先に進めたであろう皆の未来を自分がボタン一つで簡単に操っているように思えてしまう。ちょっと怖い。
自動車に乗っている人の中には仕事で急いでいる人もいるだろう。家に帰る人もいるだろう。具合が悪くて病院に急いでいるかもしれないし、誰かのもとへすぐにでも駆けつけたい人がいるかもしれない。この一瞬で誰かの人生で取り返しの付かないことになってしまったらどうしようかな。
終わりに
ちょっと大袈裟かもしれないが、そんなことを考えてしまうと自分がボタンを押すことに重要な意味があるような気がしてならない。あと10台通ったら良いか、数十秒遅らせるか、1分くらい待つか、車の流れが止まらなかったらどのタイミングでボタンを押すか‥考え出すとキリがない。
だから極力、車の流れが完全にストップしたタイミングでボタンを押すようにしている。こないだは5分くらい押さずに待った。他の誰かの人生に影響を及ばさないように。