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簪は髪に飾るお守り
簪の祖となる存在はなんと縄文時代からあるのですよ。
その昔、動物の角や骨や木の枝など、先の尖った長い棒状のものを髪に挿すと、大自然の呪力を得られて、魔除けになると考えられていました。
また平安時代になると、貴族たちは神事の際に、挿頭(かざし)といって、本物の草花を髪や冠(かんむり)などに飾る風習が出来ます。
※挿頭は『挿頭華』や『挿頭花』と表記する場合もあり。
この挿頭に関しても、自然の植物の生命力を得られるとか、神様へ感謝の気持ちをささげる意味合いがあったのですよ。
そして挿頭は簪の語源となり、後世になると本物の草花ではなく、造花や金属製の草花を頭部に飾ることに変りました。
私は以前、実際に金属製の挿頭を拝見したことがあるのですが、それはそれはとても美しく精緻で、上質な簪という印象を受けたほど!
更に簪は、スピリチュアル的なお守りであるだけではなく、物理的に身を守るもの、護身用としての役目もあったのです。
特に簪文化が発展した江戸時代では、平打ち簪など金属製の簪は時として、女性の防犯用の武器としても使われたとのこと。
簪って髪を美しく飾るだけでなく、祖となる存在も、そして語源となった存在も、実はお守りとしての役目もあったのですね。
ただの装飾品に留まらない、という簪の素晴らしさをつくづく噛み締めることが出来ます。
簪は髪に挿しておけば、安心感を得られるので、皆様もどうか簪が持つ役目や用途に着目してくださいませ!