今日のアウトテイク#126(土曜無料版)「個人がDVDを無料で貸し借りするコミュニティが拡張中」ほか【メンバーシップ特典】(2024-03-23)

<アウトテイク>
・SNSに投稿する前の推敲(もしくは配慮)なしのメモ
・投稿せずに、いや、やっぱりやめておこう、と思った殴り書き
・ブログ記事として仕上げる前の思索の断片、または下書き
・一部、筆が乗ってきて文字数多いのもあり〼
・たまに過去に書いたネタを展開する場合も
・要するに「伊藤の現在地点」

※noteメンバーシップ「Beyond the Coworking 〜移働の時代〜」に参加いただくと有料記事も全文読めます。初月度無料です。

この雨が止めば、春。あ、止んだ。

#今日のBGM

#今日のコトバ

"もし一人でいるときに孤独を感じるのなら、今ある人間関係が君に相応しくないということだ。"
(ジャン=ポール・サルトル)

#門出を祝う

今日、彼は多くの同級生に見送られて新神戸駅をあとにした。
本人には知らせないで集まってくれたサプライズだった。
そういう仲間たちと同じ時期を過ごせたのは宝物だ。

今日は朝からもっこすのラーメンを食べに行ったらしい。
しばらくは食べられないからと友人たちと連れ立って。
そういう友人がいるのが喜ばしい。

明日から新しい土地で新しい生活がはじまる。
新しい友人にもめぐり逢い、新しい世界観を得る。
ときには気に入らない出来事もあるだろう。
どんなときにも、自分の感性を大切に。

無理に頑張らなくてもいい。
自分の気に入るようにやればいい。
他人の意見は参考にしても、それに縛られないよう。

常に「自分」を持っておくよう。
自分で「自分」を決めるよう。
そして、人生を愉しむよう。
愉しい方を優先するよう。

君の人生ははじまったばかりだ。
人生に無駄なことは一つもない。
大いに人生を愉しんでくれ。
そして、もっこすのラーメンが食べたくなったらいつでも帰ってこい。

#個人がDVDを無料で貸し借りするコミュニティが拡張中

今や、音楽や映画をストリーミングで楽しむのが当たり前になった。ぼくも音楽好きで毎日Spotify(たまにYouTubeMusic)でBGMを流しながら仕事する。この「今日のアウトテイク」でも必ず冒頭にBGMをかけてる(表記している)。

そんな中、いやいやいや、やっぱり盤(ディスク)でしょ、という人たちが面白いことを始めている。しかも、無料で。

その名もFreeBlockbuster。どこかで見たことのある名前とロゴ。

これは、町中に郵便受けのようなボックスを置き、そこでお互いに映画のDVDを交換するプロジェクト、というか一種のコミュニティ・ムーブメント。本を貸し借りするリトル・フリー・ライブラリーというのは昔(2009年)からあるが、これはそれの映画(VHSテープやDVD)版。オモシロイ。

ブロックバスターといえば、泣く子も黙る(古い)レンタルビデオのパイオニアだ。1985年にダラスで開業し、2004年までに世界中に9,000以上の店舗を持ち、6万人以上の従業員を抱えるまでに成長した。が、その後、インターネットによるストリーミングが主流になるに連れ経営が悪化し、2010年、倒産に追い込まれた。

ちなみに、同社は、2000年に現在約2,650億ドルの価値がある、ライバルのネットフリックスを5,000万ドルで買収するという提案を断ったという逸話がある。今更だが、「そのとき買っておけば」と誰でも思うだろう。

このFreeBlockbusterは、いわばそのブロックバスターへのオマージュだ。

事の起こりは2019年、ロサンゼルスの映画・テレビプロデューサーで、ブロックバスターの元従業員でもあるブライアン・モリソン氏が、同社の青と黄色のロゴを古い箱にペイントし、DVDを詰めたことから始まった。勝手に。

多くの人にとって、このブランドは友人や家族とビデオ屋に行き、棚を見て回り、映画とポップコーン1袋を手に取った思い出を呼び起こす。

判る。確かにストリーミングは便利だ。第一、見たいものを手に入れるのに時間がかからない。けれども、現代人は忙しくすることに慣れすぎてしまっている。洗脳されていると言ってもいいかもしれない。むしろ、この「ビデオ屋に行き、棚を見て回る」という行為そのものに意味があった、楽しかった、と今にすれば思う。

受賞歴のある映画監督は「手に取ることに勝るものはない」と言っている。

「触覚的な親密さというのは、なんだか空想的でどうでもいいことのように聞こえるかもしれませんが、触覚はアートを消費し、体験する経験の一部なのです。」

ちなみに、ネットフリックスは昨年DVDサービスを終了し、ベストバイは最近、ディスクの販売を中止すると発表している。ただし、物理メディアはまだほとんどの公共図書館で借りることができる。でも、他にはない。いや、なかった。FreeBlockbusterがはじまるまでは。

FreeBlockbusterは徐々に支持を集め、最終的にはルイジアナ州からカナダ、さらにはイギリスまで、200以上のコミュニティ・ボックスがオープンした。5年で200以上。海をわたって。なんか楽しそうですよね。

そのボックスも、自前のものでいいらしいが、オリジナルボックスも$349で販売している。ここにそのボックスの説明ページがある。動画を再生するとよく判る。

「私たちは社会的な動物です。世界に出て、お互いに関わり合いたいのです」とは、モリソン氏の弁。

そうそう、我々はソーシャルアニマルなのよね。誰かと関係を結ばないと生きてはいけない。その関わり合う方法として、というか、媒介として「映画」を、しかもDVDという物理的メディアを利用している。

彼自身、自宅の外に貸し出し用のライブラリーを置いて、テレビシリーズやホラー映画、時にはサイン入りのインディペンデント映画など、DVDやVHSテープをよく補充している、とか。

業界人もこのカツドウに賛同している。

ロサンゼルス在住の脚本家、アンドリュー・ケヴィン・ウォーカー氏もこう語る。

「これは、人々が映画への愛を分かち合う機会であり、それが自分の好きなギルティプレジャーであろうと、自分の好きな映画であろうと関係ない。」

ギルティプレジャーというのは、後ろめたい喜びをもたらす物事、認めたくないが実は好きな対象、恥ずかしい趣味のこと。ありますね、それ、誰でも。

彼はボックスに入れる映画を探して古物商にも行ったらしい。プロがこういうフリーのカツドウにマジになっているのがオモシロイ。

その背景には、拡大し続けるプラットフォームを転々としたり、あるいは完全に姿を消したコンテンツを探し続けるのに疲れた、いわゆる「ストリーミング疲れ」がある。

いつの間にか慣れっこになってしまったそういう行動パターンに「待てよ、なんでそこまで」と気づく瞬間が訪れ、その反動でストリーミングが主流になるまで支配的だった物理的メディアを懐かしむ。それも判る。

そういえば、CDが世の中に現れてビニール盤のレコードなんてものは滅んだ、と言われていたのに、根強いファンに支えられて生き延び、いったん底をついた売上はいつの間にかCDを逆転している。

アメリカでは、2022年、レコードの販売枚数は4100万枚と1987年以来初めてCDを上回った。

イギリスでも、2022年のレコードの売上高が過去30年間で最大となり、CD販売数を上回る結果となっている。

その一番の理由は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って家にいる時間が増えた21年に急伸したことが大きい。が、それだけではない。

日経記事によると、

レコード需要が復活している背景には、若者を中心とした人気が高まっていることもある。米調査会社ルミネートによると、1990年代半ば以降に生まれた「Z世代」は平均的な個人と比べてレコードを購入する傾向が強いという。

米ニューヨーク市在住のサイモンさん(24)は「CDは商業的で安っぽい印象だが、レコードは懐かしさやぜいたくな感じがする」と話す。普段は便利なストリーミングサービスを使いつつ、週に数回は「外食や旅行をするような気持ち」でレコードの音楽を楽しむという。

(出典:日本経済新聞)

やっぱりZ世代がキーになってる。同じ音楽を聴くにしても媒体によって味わい方が違うということを、この若い世代は敏感に感じ取っている。

オーディオマニアは再生される音の違いを云々するだろうけれども、「ぜいたくな感じがする」というのがそれを現していると思う。また、ストリーミングと併用している、というところも今どきの若者の合理性を感じる。

もうひとつ、FreeBlockbusterの背景としてあるのは、ストリーミングに押されてDVD自体、市場に出回らなくなってきたこと。つまり、見たくてもないのだ。

ロングアイランドのFreeBlockbusterのボックスの運営者はこう言ってる。

「私の感覚では、彼らにとっては、このクールで斬新な皮肉というよりも、やっとDVDを手に入れる場所が戻ってきたという感じです」

DVDがレコードのような復活の道を歩むとは、モノがデジタルだけにさすがに思わない。ただ、FreeBlockbusterがフリー(無料)であり、販売ではなくて「交換」というところがミソ。

これが一時のノスタルジーだけにとどまらず、繰り返すが映画が媒介役となって人をつなぐ、いわばコミュニティの醸成に役立っているということ。事実、FreeBlockbusterも「FreeBlockbuster Community」と言ってる。

ところで、なんでこの話題を取り上げたかというと、自分が持っているDVDを他の人と交換して(貸し借りして)楽しむという構造は、シェアリングエコノミーのいちパターンだからだ。

そして、「コワーキング曼荼羅」にもあげているように、コワーキングもまたシェアリングエコノミーのステージとして役に立つ。

以前から、コワーキングでのシェアリングエコノミーの一番わかり易いのは本と言ってるが、もしかするとDVDのライブラリーも面白いかもしれない。

個々に持ち寄ったDVDをコワーキングに置いたボックスに入れておくだけで誰かと交換できる。ストリーミングのリンクを教えるのではなく、あえて物理的に所有している「ブツ」を介してつながりを作る。「手に取ることに勝るものはない」。まさに、それ。

ところで、例のロゴだが、本家のブロックバスターのブランド管理をするDISH Network社から使用をやめるよう書簡が届いているらしい。ここは大目に見て暖かく見守ってあげてほしいがどうだろうか。

ということで、今日はこのへんで。

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