【詩】丘の上にハイジがいるよ

大きなあくびをひとつした
あの時計台の前を通って
空を歩いたのは
きみかい
ぼくはぼけっとしていた
きみは
約束の地に
たどりついたみたいだね
ぼくもほっとしたよ
それでもきみは黙っている
何があったかを
話そうとしない
幽霊船にのりこんだことも
雲の上の学校にしのびこんだことも

ぼくたちは
ことばを覚えただけなんだ
きみの
絵本の話は
おもしろいけど
きみ自身は
どう思ってるのかなあ
きみは
蜂に育てられて
空を飛べるようになった
と言うけど
ぼくたちは
魔法を使えるようになったわけじゃないんだ
ことばを覚えただけなんだよ

たどりついたのなら
きみは
ここにいるべきだし
ことばの天才になるべきなんだ
ぼくはどうやらきみのために働きすぎたみたいだ

うす汚いシャツを脱いで
鳥肌を見せる
丘の上にハイジがいるよ