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【詩】ボール遊び


さよならは言えない
そもそもそういう間柄じゃないし
改まって言わなきゃいけない必要なんてない
言えないよ!

ただ僕の激情はだんだん薄れていき
唯一だなんて魅惑もなく
風船は凋んでいく

こんなもんさ
手の届かない夢から醒めたような気分だ
特別なことは特別じゃなくなり
君の背中は遠く感じる
サーカスで覚えたボール遊びを
夕暮れになるまでずっと続けてたかった

過去形だ
そもそもそこに未来はあっただろうか

さよならだけは言えない
さよならだけは




月刊ココア共和国2023年4月号佳作集作品

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