⑪グレを保護する
10月下旬に引っ越しをすませた私たちは、次の週末にグレを保護する計画をして、朝早く現地に行きました。
冬の足音が近づいていましたし、グレも目ヤニがたまっていて調子がわるそうで、グレの保護は急がれました。
住宅街ですので、捕獲機を置くにもいろいろ許可がいりますし、なにより臆病なグレが捕獲機に入る気はしませんでした。
だんにゃがチュールでキャリーの中にさそい、そのまま扉を閉めるというかたちで保護を計画しました。
わたしは離れた場所で、メス猫とその子猫の気をひき、グレのほうへいかないようにガードしていました。
グレはいつも通りでてきてくれましたが、やはり臆病なグレ。初めて見るキャリーに警戒します。
それでも、数日間ごはんをあげにこられなかったのでおなかをすかせていたのでしょう、チュールほしさに一生懸命きてくれましたが、そのやりとりは1時間以上におよびました。
なんとか、キャリーに上半身をいれてくれたとき、下半身をキャリーの蓋とともに押し込み、グレを保護しました。
だんにゃがグレがはいったキャリーを持ち、笑顔でこちらに歩いてきた映像がいまでもはっきり覚えています。
グレを車にのせ、バスタオルをかぶせました。グレは、一度だけ、大きく「ニャー!」となきましたが、そのあと、一度もなかずに、じっと耐えていてくれました。
気丈なグレのすがたに心を打たれました。
そして、、、そのまま、メス猫とその子どもも保護する予定でしたが、今日はグレのことでもういっぱいになってしまい、「また今度にしよう」と言い、グレだけをのせて、車をだしました。
メス猫と子どもが、こちらをずっと見ていました。
そしてそれが、この子たちとの最後となってしまいました・・・。
(つづく)