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⑥わすれられない出来事。

グレを保護した経緯からすこし話がそれたように感じられるかもしれませんが、わたしにとって、これは全部一連の、ひとつながりのできごとです。そして、それは、けっして楽しい話ではありません。つらすぎることの連続でした。思い出すだけでつらく、いままで、無意識的に、あまり思い出さないようにしてきたのかもしれません。今回、これを書いていて、いろいろな記憶が思い出されて、なんとも言えない感情が沸き上がってきて、はきそうになりました。人知れず生まれ、懸命に生きて、それきり会えなくなった子、亡くなっていった子、かけがえのない意志をもった個性(いのち)たち。悲しいとか可哀そうとかではなく、何も疑わず、誰も恨まず、悲しむこともなく、あきらめることもなく、ただ、あたえられた命を必死に、一生懸命に生きている、というとてもシンプルな事実が、あまりにも尊すぎて、その尊さに、自分自身がついていけていないのかもしれません。

猫さんたちは、それぞれのコミュニティーの中でそれぞれの立場・役割をはたし、猫さん自身も成長し、変化し、相手に何かを与え・伝え、時に対立したり心を通わせあったり、何かを諭したり、そうやってコミュニケーションをとっています。言葉があってるかわかりませんが、猫は孤高で群れない、といいますが、けっしてそうではありません。適度な距離をとりつつも、お互いに関係性を認識して、グループとして、生活をしています。むしろその場・状況に応じて、時にはメスがボス的な役割をはたして縄張りをまもったり、よそ者から仲間を守ったりもします。そして、その土地のもつ感情や力を自分に取り込んでそこに居ることで、猫さんのいる場所自体も、生き物のように、活き活きとそこに存在しているように感じました。

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そんなある日・・・

あまりにも突然、その出来事は起こりました。

トラが、トラックにひかれて亡くなったのです・・・

この一行を書くことが、なかなかできなくて、実はこのnoteは前の記事から10か月ほど筆をストップさせてしまっていました。でもある猫友さんが「読みました」と言ってくれたことに勇気をもらい、後で書きますがグレの体調もすこし安定してきたことで、最後まで書く気力が湧いてきました。

・・・・。

亡くなった時の詳細なことは、やはりツライので割愛させていただきます。

なぜ?なぜ、トラが、亡くならなければならないのか。トラはなにも悪いことをしていない。トラは一生懸命生きているだけ。何が起こったのか、状況が理解できず、気を失っているだけではないか、寝ているだけではないかと、なんども呼びかけ、揺さぶり、体温を感じようと触れました。トラの体はまだぬくもりを感じられましたが、だんだん、固くなっていきました・・・

たまたま通りがかった女の人が、一緒に泣いてくださり、無言で頭を下げて行かれました。

ねこじゃらしが揺れる、7月1日のことでした。


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トラがここにいるうちは、ここでトラを見守りたい。

そう思っていたのですが、トラがいなくなった今、ここにいる理由がなくなりました。物件探しをさらに加速させました。

〈つづく〉

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