⑭猫エイズのこと
猫エイズ(FIV)は自己免疫疾患で、通常は体を守る働きをする免疫機能が壊れてしまい、自己の細胞をこわすなどしてしまう病気です。唾液や交尾などでうつることはなく猫エイズの猫に皮膚を噛まれたときに感染するといわれています。猫エイズの猫とそうでない猫が同じ空間で共生していても、それだけでうつることはありません。ただ、「治療して治る」ということはなく、それが発症しないように極力ストレスを与えず、風邪などの体調の変化にも気を付けながら、見守っていくしかないものです。また、明確に「発症した」といういえる明らかな症状があるわけでなく、よく言われるのは口内炎がひどくなってだんだん痩せて・・・という
人間のエイズとはちがいますし、人間にうつることもありません。
* * *
グレは2月くらいから、いままでより調子が悪そうでした・・・。その時の写真をみると、毛づやはさらに悪く、げっそりして目つきもよくありません・・。
お外にいるときより暖かい場所で、食べ物も、睡眠もたっぷりとっているはずなのに、保護する直前よりどんどん弱っていくようでした。。。
どうして?どうしたらいいの?
2月21日、近くによさそうな病院を見つけてグレを連れて行きました。
血液検査の結果、極度の貧血状態で、
「猫エイズが発症しているとみて間違いない。」
「一か月ももつかどうかわからない。」
と言われてしまったのです・・・。
全身のちからがぬけて、この世がすべて絶望的に思えてしまうくらいショックでした。
どうしてグレがこんなに苦しまなければならないのか。グレはいい子で、まっすぐ一生懸命生きているだけなのに。
世の中は不公平で、神様なんていない。
そう思わざるをえませんでした。
翌日、なんとか気をもちなおし、猫友のみなさまにtwitterで報告し、たくさんの励ましのメッセージをいただきました。一件一件、しっかりと拝見させていただき、涙があふれましたが、この時はお返事を書くことができませんでした。メッセージをくださったみなさま、改めてお礼をもうしあげます。
2月22日、猫の日。このようなご報告をすることとなってしまいました。
* * *
個人的な話で恐縮ですが、わたしがこのことにショックをうけた背景に過去の出来事があります。私の母は50歳のときに不治の難病にかかり、5年の寿命を言い渡されて、165cm以上なのに体重が37kgと痩せ細りながらも、気迫で10年がんばって生きてくれ、亡くなりました。。。
「自己免疫疾患」による肺の病気で、グレとおなじ免疫抑制剤「プレドニン」を処方されていたのです。。。
母は若いころから健康で体格もよく、風邪もめったにひかず、「あんなに元気だった人が・・」と誰からもいわれました。病気の原因は不明です。酒・タバコなども一切していませんし、食事も、加工品や添加物を避け、ほとんどなんでも家で作ってくれました。
肺の病気ですから、最期はとても悲惨だったのはいうまでもありません・・。
なぜ母がこんな病気にならなければならないのか?母はなにも悪いことをしていない。考えても考えても、どうして母が苦しまなければならないのか、答えを見つけることはできませんでした。
その時も思いました。
世の中は不公平で、神様なんていない。
* * *
梅の花が咲いているのをみるだけで、なみだがあふれました。。。
グレもこの梅のように、与えられた命をただ全うしているだけ。
なんにも悪いことをしていないんです。とてもいい子なんです。
梅を生かしているのなら、グレも生きさせてあげてください。
(つづく)
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