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不可能立体の世界で彷徨う

これは、2017年の夏に明治大学博物館へ訪れた時の記録。
私のスマホの中だけに収めるには、非常に勿体無い写真だと感じたので
7年越しであるが、ここに記す。

さて、この画像を見て、あなたはどう感じるだろうか?

手前の物体と、奥の物体は別のものに感じるだろうか?

これらは、同一の物体である。
奥の物体は、鏡に映っている手前の物体である。

ここに載せている写真は全て、
『手前の物体が鏡に映っているだけ』の写真である。

冗談もほどほどにしてほしい。

だが、この冗談のような、嘘みたいな、
しかし目の前で起きている現象こそが、真実である。

真実からしてみれば、冗談もほどほどにするのは私の目なのかもしれない。

目に見えるものが真実、
だなんてこと、もう言えなくなってしまった。

いや、いま目に見えているものは、紛れもなく真実なのだけど。

ちなみにこれ、ピンポイントで写真を撮ってこう見える
ってレベルを超えている。

展示室のガラスにへばり付いて、無理な角度から覗き込んで
やっと、わずかに理解できるかな、といった具合。
少し見る角度を変える程度じゃ、目の錯覚は解けない。

どうですか?頭がプスプスしてきた頃でしょう。

鏡には、タネも仕掛けもございません。

可愛らしいタイトルに一瞬惑わされますが、
作品自体はぜんぜん可愛くない。
すぐに私の脳を殴ってくる。

そんなに殴らなくても、もう既にK.O.されてますよ。

7年越しに改めて見ても、やっぱり分からない。
この物体が、理解できない。

これは、一番のお気に入り作品。
みんな一緒に見えて、違うんだね。

というか、唯一形そのままのハートですら
鏡に“そのまま”映ってない。

事実は小説よりも奇なり。

2017年夏、涼しい館内にいたはずなのに
退館時は、入った時より熱くなっていた。

2024年冬、まだ少し冷える季節なのに
この記事を書き終える今、少しほてった顔の私がいた。

【参考】進化する不可能立体〜真実がわかっても逃れられない不条理の世界〜


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