価値がわからんわらしべ長者
「お天道様、今日の食いぶちもございません、
どうか私を、お金持ちにしてください」
「ある角度から見たら柳葉敏郎に見えるデコポンを大切にしなさい」
「分かりました」
男は、お天道様の言いつけ通り、ある角度から見たら柳葉敏郎に見えるデコポンを大切に、肌身離さず持ち歩くことにしました。
すると、道に農夫が倒れていました。
「あ〜、喉が渇いたよ〜」
男は、ある角度から見たら柳葉敏郎に見えるデコポンを農夫に食べさせました。
すると農夫は元気になり、お礼に、顔にテニスボールがねじ込んだ吉川晃司をくれました。
男が顔にテニスボールがねじ込んだ吉川晃司と歩いていると、公園の前で子どもがテニスをしたがって泣いていました。
「そんなこと言ったって、テニスボールが無いでしょ!あればまた話は変わってくるけど!?」
お母さんは顔にテニスボールがねじ込んだ吉川晃司からテニスボールをよじり取ると、吉川晃司はお母さんの側頭部をハイキックしました。
怒るのも当然です。
無礼甚だしいお母さんは伸びてしまいましたが、吉川は背丈までしゃがみ込んで泣いている子どもの両手に転がったテニスボールを包み込むように渡しました。
「おじちゃんありがとう!」
悲し涙は嬉し涙へとシフトし、子どもはお礼に、海へ帰ろうとしているパンダをくれました。
ポン、タン、、ポン、タン、、ポン、タン、、
心地よいテニスの壁打ちを背中に浴びながら、男が吉川晃司と海へ帰ろうとしているパンダと歩いていると、
「あ、じゃ、僕こっちなんで」
と海へ帰ろうとしているパンダが江ノ電の改札へと向かいました。
男は方向が違うので、いつまでも吉川と暮らしました。
別に幸せに暮らしたわけではないです。
ただ生活リズムが男は朝勤で、吉川は夜に稼働するので、あんまりバッティングすることがないのでほぼ広い家に半額で住めているみたいな感じでしたとさ。