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読心術vs読唇術

(くそっ、奴の能力は知らないことには、下手に手を出せない…!カウンター型の能力だった場合、先手を打つのは死に値する…!どうにか奴の能力を見抜く方法はないか、考えろ考えろ!)

 「ほぉ、こちらの能力はバレていない、と…、ありがとうご丁寧に教えてくれて、キミの考えていることは全て筒抜けなのさ」

(お、ぶつぶつ独り言を言うタイプでよかった!何を言っているかは聞こえないが、何を言っているかは解るのさ!口を動かしている限りはね…!)

 「…ん?どういうこと?何を言っているかは聞こえないが何を言っているかは解る?は?意味わからん意味わからん、ぶつぶつ独り言を言うタイプでよかった?ボクが?ボクが独り言を言うことでキミに良いことがある?詳しく説明してほしい…」

(あ、めっちゃ勘鈍いな、ぶつぶつ独り言を言うのをまずやめればいいのに、少なくとも独り言を言うことが不利だとわかったのなら、独り言を言うのをやめればいいのに…)

 「は?マジでなに言ってるんかわからん…不利?独り言を言うことが不利?キミが?ボクが?主語を言ってくれ主語を、たまにおんねん主語あんま言わん奴めんどいねんあれ」

(まぁそう言うオイラも、アンタの能力が読心術だとわかった時点で考えることをやめるべきなんだけどね)

 「えっ読心術ってバレてる?なんで?いつに間に?…まさか、キミも読心術の使い手ってことか…!?」

(やっと気付いたか、そう、オイラは読唇術の使い手、教えてくれたお礼に教えてあげるよ)

 (なるほど、心の読み合いってわけか、じゃあこっからは実質心理戦ってわけだな)

(…ん、どうした?)

 (同じ能力を授かった者同士、フェアにやろうじゃないか)

(なぜ何も言わずに近付いてくる…?)

 (…ん?)

(え?止まった?)

 (止まったけど、え、なに?)

(なんでちょっと近付いてきて止まった?)

 (いや、だって、これから戦うんやろ?)

(なんか喋ってよ、怖いって)

 (喋る必要ないやろ、読心術同士でそれは野暮やろ)

(えっなんなん?10メートルくらい先からじっといぶかしげに見られるの不安やわ、やめて)

 (は?てかこれ聞こえてない?なんで?もしもーし!おーい!あ、聞こえてたら右手あげてー!)

(んー?こっちの心は読まれてるってわけだよな?ってことはつまりオイラがいま考えてることが、アイツの足を止めていぶかしげな目をさせているってことだよな…?)

 (えーこれ聞こえてないやん、どういうこと?いつから?めっちゃ最初の方ラリー続いてたのに、いつから?え?)

(えっ、こっちの心は聞こえてるやんな?)

 (聞こえてるで)

(あれ?聞こえてない?)

 (あーそっか、聞こえてる聞こえてる)🙆

(おー聞こえてる、そうやんな?)

 (そうそう!)🙆

(てかなんで急に喋らんくなったん?)

 (いやだって、だからぁ、読心術同士の世紀の一戦で、喋るのはダサいというか、野暮というかぁ…)

(…)

 (あーそっか、えー、)「だからぁ!!読心術同士の世紀の一戦でぇ!!喋るのはダサいからぁ!!」

(…ん?読心術同士?)

 「そう!!ボクもぉ!!キミもぉ!!読心術やろぉ!?」

(…あー、はいはいはい、そっか、なるほどなるほど、ハハ、はいはいはい)

 「なんで笑ろてんねん」

(なんで笑ろてんねん)

 「え?いまの聞こえてた?この距離で?)

(読心術と読唇術ね、同音異義語同音異義語)

 「え?」

(アンタは心を読む方の読心術で、オイラは唇を読む方の読唇術)

 「くちびるを読む?」

(唇を読むと術と書いて、読唇術)

 「…なにそれ?どういう意味?」

(あっ、えっ、読唇術を知らんのそもそも?)

 「読心術は心を読む術やろ?」

(あーはいはいはい、まぁそっか、知らん人もおるか)

 「なんやねん、ムカつくな」

(ごめんごめん)

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