エントリーフィーフィールド
「こ、これは…!?」
地下何階だろうか。
こんなどこにでもいる電気整備士になんの用があるっていうんだ?
エヴァで見たようなエレベーターがこれでもかというほど下がって開けた無機質な空間に、いわゆるマザーコンピュータ的な巨大な物体がある。
「脳みそ…??」
「さぞ驚かれたでしょう」
「これは一体…」
「エントリーフィーはご存知でしょう?」
「なんですか?」
「ほっほっほ、ご存知ない?」
「知らないです、エントリーフィー?」
「お笑い芸人がお笑いライブに出るために支払うお金のことです」
「あ、ギャラのことか」
「ブフッ、ほーっほっほっほ」
「なんですか?不愉快な」
「無知もここまで来ると…おっと失礼…冗談でおっしゃったわけではなく?」
「冗談なんて言いませんよ」
「お笑い芸人『が』、支払うお金のことです」
「どうして出演する側のお笑い芸人がお金を払うんだ?」
「さぁ?それはボルタティスクの民の間でも永遠の謎とされています」
「そうなのか…で、そのエントリーなんちゃらがどうしたって言うんだ?」
「お笑い芸人はエントリーフィーを払うためにアルバイトをし、数年かけて通算でうん万円のエントリーフィーをライブ主催者に納めます」
「何が楽しくてそんなことを」
「永遠の謎」
「そうなのか」
「するとお笑い芸人たちはゼロから作り上げたネタを披露し本来は報酬をもらうところをさらに汗水垂らして握り締めた札束をも剥がしとられ次第に頭がいっぱいっぱいになってきます」
「そりゃそうだ」
「その何千、何万、さらに数年いや数十年のお笑い芸人らの頭いっぱいっぱいパワーがここ!このエントリーフィーフィールドに集結しているのです!」
「って、ってことはあのどでかい脳みそのバケモンは…」
「もともとはただの丸い美しい水晶だったのですが、いつの間にかあんな醜いお姿に…」
「キャパシティオーバーってことか…」
「ご名答」
「このエントリーフィーキャパシティオーバーパワーエネルギーを発電に使うってことか」
「ご名答すぎ❤️」
「原子力発電の廃絶のためにお笑い芸人の犠牲は厭わないってことね」
「話が早すぎ❤️」
「お笑い芸人めっちゃ嫌いだから賛成。契約成立だ」
「ボルタティスクの民に幸あれ」
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