自分で自分の出産に立ち会う方法
「自分の出産に立ち会いたいんです」
ドンと置かれたアタッシュケースには札束がビッシリ。5千万円にヨダレが出て快諾したものの、どうも良い案がない。霊媒師歴35年をもってしても、自分で自分の出産に立ち会う方法なんて…。
まぁ真っ先に思い付いたのは『幽体離脱』です。しかしこれには問題があって、基本的に幽体離脱された、いわゆる抜け殻の方は、文字通り抜け殻であって、いきむ、いきむことができないのです。意識は離脱した幽体の方に宿るのですから当然で、立ち会うことはできても抜け殻の手を握ってヒーヒーフー言う羽目になるのです。人形遊び甚だしい。
そこで考え至ったのは『幽体離脱』と『降霊』のミックスです。私の本業は降霊です。お安いご用なのですが、もちろん私が私の体に降霊させるのは超簡単、次に人様の体に降霊させるのはその人の体質にも寄りますがまぁ8割方はいけます。事前の降霊チェックで3回中3回をクリアしていただければ本番も可能かと。
手順(1)相談者様に『幽体離脱』をしていただく。
手順(2)相談者様の抜け殻に若い女性の霊を『降霊』させる。
まず手順(1)ですが、相談者様は素人様ですので、『幽体離脱人参』を食べていただきます。わたくしのようなプロは舌を巻き込んで喉ちんこをタッチしたまま目を瞑れば離脱できるのですが、素人様にはなかなか、大腸カメラのときに大量のマズい下剤水を飲むように、マズくてデカい『幽体離脱人参』を生で黙々と30分かけて食べていただきます。身重な状態で大変かと思いますが、そこは堪えていただけると幸いです。産まれる!と思ったら食べ始めていただいて大丈夫です。完食すると10〜20分ほどで首のあたりがポワ〜ッと温かくしてきます。その状態は平均で18時間は継続します。その状態というのは、喉ちんこが赤く肥大している状態です。いわゆる『無敵モード』と我々は呼称しているのですが、その18時間の無敵モードの間に、先ほども申し上げたように自分の舌を巻き込んで喉ちんこをタッチしますと、すぐさま気を失って幽体離脱をします。少しチクッとしますが大丈夫です。分娩室に運び込まれたタイミングで実行していただければと思います。
次に手順(2)ですが、こちらは完全にわたくしにお任せくださいませ。分娩室には霊がたくさんおられますので、分娩室は別名『輪廻の扉』と言われてますので、産まれ変わりに行列ができているイメージですね、その行列の中にはもちろん若い女性も並んでいるものですから、騙す形にはなるのですが、無作為に選出した若く健康体の女性を、霊に健康体とは変なお話ですが(笑)、相談者様の抜け殻様に降霊させていただきます。あとは騙された畜生と思いながらも女性のDNAレベルの本能としていきんでくださりますので、それをご幽体の相談者様が相談者様自身のお手をお握りになられて、思う存分のお立ち会いを堪能していただければと思います。
はい、以上のようにご相談者様にご説明、ご承諾していただき、もちろん実行していただき、ご承知の通り、そちらの、元気な男の子をお授かりになりました。
「返さないよ」
はて、困りましたね…。