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会話のキャッチボール

キャッチボールさんが怒っているらしい。

俺は野球用語であって、会話用語ではない。と。

会話用語ってなんですか?

って聞いてきた後輩に、手を出したとか。

『会話のキャッチボール』

こういう表現をするのはいい。

するのはいいが、挨拶がなかった。

その表現をすること自体、別にむしろ嬉しいくらい。

名前を出してもらって嬉しくないわけがない。

ただ一言、マネージャー経由でもいいから、欲しかった。

失礼やろだって。

俺、間違ったこと言ってる?と。

キャッチボールさんはこういう礼儀に厳しい。

基本は優しいのだが、順番が違うやろ、的なことに厳しい。

間違ったことを言っていないだけに隙がなく、面倒臭がられるタイプだ。

野球の相槌。

『野球の相槌』

こう言われてるのと一緒やぞと。

お前が相槌やとして。

相槌の立場になって考えてみろ。

『野球の相槌』

って自分の知らんところで言われてたら嫌やろと。

『会話のキャッチボール』はそれくらい無神経なことをしている。

野球の相槌ってなんですか?

って言ってきた後輩にリモコンを投げつけたらしい。

リモコンのキャッチボールですか?

こめかみから血を流しながら、後輩がそう返したらしい。

キャッチボールさんが事の重大さに気付いたのはそのときだった。

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