デフォルト漫才〜漫才をやってる漫才〜

「いやーいきなりやけどさ、俺もな、将来結婚したいねんな」

　「え！急にそんなこと言われても…」

「お前とちゃうわ！」

　「え、プロポーズちゃうの？」

「なんで漫才の冒頭でプロポーズせなあかんねん」

　「ちゃうんか」

「ちゃうよ、いや結婚の挨拶って緊張するよなって話」

　「あー、相手の親御さんにな」

「そうそう、ちょっと緊張せえへんように、ここで練習してみてええ？」

　「ここで」

「俺が結婚の挨拶に行くから、お前は結婚相手のお父さんやって」

　「俺がお父さんな」

「お父さん、娘さんを僕にください」

　「どこの馬の骨かわからん奴に娘の骨はやらん」

「娘の骨ってなんやねん！」

　「娘の骨は渡さん！（泣）」

「なんで骨壷もってんねん！死んでへんねん！」

　「あー死んでへんの？」

「初対面の男がいきなり家きて娘さんの骨くださいってサイコパス過ぎるやろ！」

　「あー確かに」

「ちゃんとやってな」

　「わかったちゃんとやる」

「お父さん、娘さんを僕にください」

　「君にお父さんと呼ばれる筋合いはない」

「すみません」

　「義理のお父さんと呼びなさい」

「いや変やろ！義理のお父さん、って」

　「まあでもあれか、義理のお父さんと書いてお義父さんと言っていたのなら謝るけども」

「なに言うてんねん！」

　「まぁまぁお父さん、そんな意地張らないで」

「お母さん出てきた」

　「ごめんなさい気が利かなくて」

「あ、そんなお気遣いなく」

　「どうぞ、お口に合うかわからないけど」

「ありがとうございます、なんですかこれは？」

　「娘のケンタッキーよ」

「娘のケンタッキー！？」

　「骨はここに入れるんだぞ」

「いやサイコパス家族やないかー！もうええわ！」

👱‍♀️「以上、私がバーっと数分で書いた漫才なんだけど、チューパンはどう思った？」

　🐭🐼「え！数分で書いたの？クミティーは天才だね！」

👱‍♀️「天才じゃないわよ、こんなの」

　🐭🐼「えー！チューパンは面白かったよ！」

👱‍♀️「こんなの誰でも書けるの！」

　🐭🐼「チューパンにも？」

👱‍♀️「ヨッユーで書ける！」

　🐭🐼「ヨッユーで書けるの！？」

👱‍♀️「ヨッユーで書ける！こんくらいの漫才なんて誰でも書けるの！」

　🐭🐼「へー、漫才って簡単なんだね」

👱‍♀️「ただこの漫才は、面白くないよ」

　🐭🐼「面白かったけどなー」

👱‍♀️「どのへんが面白かった？」

　🐭🐼「サイコパスとかのワードセンス」

👱‍♀️「そこ一番サブイよ！NGワード！」

　🐭🐼「そうなの！？」

👱‍♀️「これは『デフォルト漫才』って言ってね、漫才の良くないところを私なりに詰め込んだものなの」

　🐭🐼「デフォルトってなに？」

👱‍♀️「まぁ、初期状態って感じ、漫才の赤ちゃん」

　🐭🐼「赤ちゃんってカワイイよね」

👱‍♀️💧「ちょっと違うけど、まぁ、うぶ毛も生えてない漫才ってことね」

　🐭🐼「カワイイ」

👱‍♀️「結婚の挨拶の練習がしたいって「漫才をやってる漫才』って感じがして気味が悪いと思わない？」

　🐭🐼「つまりそれは、会話としてのリアリティに欠ける…ってことかな？違ったらごめんなさい！」

👱‍♀️「大正解よ大正解！やるじゃないチューパン！」

　🐭🐼「えへへ」

👱‍♀️「まぁ若手でこんな結婚の挨拶っていう設定は無いにしても、内容に関してはこんくらいのクオリティで平気でやってる漫才ってあるのね」

　🐭🐼「こんくらいのクオリティでウケてるの見たことあるよ！」

👱‍♀️「こんくらいの『漫才をやってる漫才』でウケて嬉しいのか君たちは！？って怒ってるのテレビの前でクミティーは！」

　🐭🐼💦「クミティー怖いよぉ〜」

👱‍♀️🔥「…」

　🐭🐼「つ、つまりクミティーは何が言いたいの？」

👱‍♀️「だから今日は『出荷時のデフォルト漫才』を『容量パンパンの処理落ち漫才』にするの今日は！」

　🐭🐼「今日はって2回言ってるってことは、クミティーが本気ってことだ！！」

👱‍♀️🏍️「さあ行くわよ！しっかり掴まって！」

　👱‍♀️🏍️三　　🐭🐼三「あーん待ってよ〜」

「いやーいきなりやけどさ、俺もな、将来結婚したいねんな」

　「え、ほんまになんなんいきなり？相手おんの？」

「いや、別におらんけど」

　「まぁ、結婚って言ってもな、みんながみんな結婚願望があるってわけじゃないしな」

「まぁ、そうやな」

　「結婚したいってのは、どういう理由で？」

「まぁ、結局、親が安心するってのが大きいかな」

　「実際な、親が安心するのと、自分の価値観を天秤にかけたとき、親を不安にさせてまで価値観を押し通そうとも思わんからな」

「そうそう、やからほんまに結婚したいんか？って聞かれたら、結婚したくないんかもしれん」

　「永遠の愛を誓うのも実際ようわからんしなぁ」

「病めるときも、健やかなるときも、妻を愛することを誓いますか？」

　「わかりません！」

「病めるときも、健やかなるときも、夫を愛することを誓いますか？」

　「わかりません！」

「それでは、誓いのキスを」

　「人前なのでやりません！」

「指輪の交換を」

　「買ってません！」

「籍は入れますか？」

　「入れた方がめんどくさくない世の中なので入れました！」

「みたいな結婚式もあっていいもんね」

　「こんな奴ら結婚式やらんやろ」

「確かに」

💥🏍️「ブルルル…」　　👱‍♀️🩸 🐭🐼💦「クミティー！！大丈夫！？」