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ボクリチュアル
「時計が狂ってるということは、引っ越せという暗示ですね」
そう語るのは、桂鳳斎(けいほうさい)アオキ先生です。『ボクリチュアル』の祖にあらせられます。家の時計が狂ってて遅刻したとお伝えしたとき、ボクリチュアルを授かりました。
先生と電車に乗っていると、車内アナウンスが次は椎名町なのに、「東長崎、失礼いたしました、椎名町〜」と言いました。
「これは、東長崎が呼んでいるのです」
先生のボクリチュアルに従い、大泉学園でランチの予定が東長崎のカラオケになりました。
あ、説明し忘れておりましたが、『ボクリチュアル』とは、『僕のスピリチュアル』、略して『ボクリチュアル』。心無い団体は「根拠のない一個人の直感に過ぎない」などとのたまわりますが、例えばあらゆる占いも手相も風水も何もかもがそうではありませんか。何を信じるか、信仰の自由は人類の権利です。私はボクリチュアルを信じます。
先生はデンモクの前の人たちの履歴を見て、
「ミッシェルガンエレファントに身を委ねましょう」
とおっしゃい、履歴(=ボクリチュアル)通りにミッシェルガンエレファントの曲を入れてなんとなく文字を追うようにお歌い上げにあらせられました。
「採点にしとけばよかったですね」
「それは、どういったボクリチュアルにありましょうか?」
「これは、普通にそう思っただけです」
「ご謙遜を」
先生はご冗談もお得意にあらせられます。私は先生のそのようなお茶目に惹かれ申し上げ、毎日お付き添え差し上げておらさるのであいございます。
「先ほどの時計の暗示ですが」
「はい」
「本当に引っ越してはいかがでしょうか?」
私は嬉しくて涙が出てきました。先生はこうおっしゃりたいのです。引っ越しなさい、つまり先生のところに引っ越してきなさい、つまりこの先の人生を一つ屋根の下で暮らしましょうと。
「はい!!!!!!」
私は涙声で快諾声を上げさせていただきました。ちょうどカラオケルームでしたのでいくら声を上げてもよろしかったのです。このシンクロもボクリチュアルでしょうか。
「うっさっ!!」
先生はお両手でお耳を塞いでおリアクションまでお取りになられていました。
「マイク通してでかい声で…ほんま…」
なんと芸人外道のお下品関西弁までお繰り出しにあらせられて、全くお冗談がお得意でごらっしゃいます。
「では、駅名しりとりをしましょう」
「よろこんで」
「東長崎」
「城崎温泉」
「きのさきおんせん、んがついたので、これもボクリチュアルです、そちらに引っ越しなさい」
「はい、先生とならどこまでも」
「なんでやねん、キミだけや」
「お冗談を」
はぁ〜、先生、これがボクリチュアルの効能にあらせられましょうか、肌がすべすべにございます。
先生も同じ月をご覧おらっしゃるのであいございましょうか。
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