花粉の季節
女子社員、ふた昔前で言うところのOL2人が、化粧室で上司の悪口を言っている。
ジャーーーーー
髪を後ろでくくっている方は、自分の取り外した目ん玉を洗っている。
右目を洗っているときは左目で見て、左目を洗っているときは右目で見て、ではなく、もう慣れたもんで横着して両目を一気に洗っている。
ジャーーーーー
その女の話に適当に相槌を打っているボブの女は自分の鼻を丸洗いしている。
もちろん取り外して鼻を丸洗いしている。
「マジキモイよねーサカキ、あ、私のもお願い」
「うん」
先に洗い終わった鼻を装着したボブが髪を後ろでくくっている方の鼻を取り外して洗ってあげる。
ジャーーーーー
「あとあいつマジで口クサイしさぁ、息止めてんもんウチ」
ジャーーーーー
「マジでクサくない?」
ジャーーーーー
「…ん、聞いてる?」
ジャーーーーー
「おーい」
ジャーーーーー
「…あれ?」
ジャーーーーー
水を止める。
ジャーーーーー
左の水はまだ出続けている。
「…シズ?」
ジャーーーーー
左目をはめ込んで横目で見る。
ジャーーーーー
取り外した口を洗っている手元が見える。
ジャーーーーー
サカキが取り外した口を洗っている。
「ぅわぁっ!!」
ジャーーーーー
「なんでなんでなんでなんで!?」
トイレから出て長い廊下の角まで逃げてきた。
サカキが当然のように女子トイレから出てあっち方向へ歩いていくのを目視。
10秒ほど待って、私は小走りでまた女子トイレに戻った。
ジャーーーーー
驚いた拍子で落とした右目ん玉が排水口を塞いでいて、水が溜まっていた。
ジョッパジュブォオオオオ
両目で鏡を見た。
「あー鼻」
黙って去ったシズが考えられないと思った!
殺されてたかもしれないよ!
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