生まれて2回目の大喜利ライブ
職場の先輩に誘われてまた大喜利ライブに来た。
この間の会場より大きいところ。
またあのおかっぱの人も出ていた。
前半はAブロック、後半はBブロックでメンバーが総入れ替えで、彼はBブロックの方に出ていた。
Bブロックの1つ目のお題で早い段階で手をあげた。
舞台中央の椅子に座ってMCの人がお題を読んだあと、答えるといったスタイルだった。
彼はお題が読まれたあと、ホワイトボードを出す前のフリのところで、
「元・魔法少ど……あ、どって言ってもた。すいません」
と言って、会場全体に緊張が走った。
「魔法少女」を「魔法少ど」と噛んでいたらしい。
前から思っていたが、この人が喋り出すと、他の人とは比べ物にならないくらいなんか緊張する。
さらにその人がミスをしたらしいということで、そんなもん、ゾクゾクするくらいの緊張感だった。
この人はたぶん、ミスをしたらダメ系の芸人であって、ミスやスベリを自らリカバリーできるタイプではないように見られる。
「芸人」として存在する場合、言うことやることが10割おもしろくないと成立しない種類の人間なんだと見受けられる。
わかりやすく言うと、見ていて親みたいな気持ちになる。
この人を見ていると、親になる前に親になってしまう。
最後の最後のお題。
【〇〇(featuring〇〇)の出した新曲】みたいなお題で、〇〇にはお客さんが考えたワードがはめ込まれるというランダムお題だった。
【推しの子(featuringサンバ)の出した新曲】というお題になった。
他の人が続々と答える中で、なかなかうちの子は手をあげなかった。
途中、うちの子の隣にいたMCの人が、うちの子の「推しの子…」と漏れ出た声に対して、「(うちの子は)たぶん『推しの子』知らん」と周知した。
これはむしろチャンスだと思った。
うちの子もチャンスだと思ったと思う。
『推しの子』を知らないということがお客さんに周知された上での戦い方がきっとあるはずだ。
うちの子のペンが走った!
その書いたホワイトボードを眺めて、まだ手を上げるかどうか悩んでいる様子だった。
このままでは消される可能性がある!
僕は自分の胸の前に腕でバッテンを作り、服の上から両薬指で両乳首を押し込んだ。
そして深く目を閉じた。
見える。
彼の視界が見える。
寿命を削るからいざという時にしか使わないようにしている能力。
1秒につき1日。
しかし起動させたばかりのデジタルビデオカメラのように、ホワイトボード上の文字がぼやけている。
2秒、3秒、4秒、
徐々に焦点が合い、文字がくっきりとしてくる。
【推しの子(featuringサンバ)の出した新曲】
ブラジルの人 推されてますかー
いや良いやん!
出せ出せ!
何を首を捻ることがある!?
手ぇあげろ!
『推しの子』を知らないことが全員に周知されている状態で出すにはもってこいの回答やん!
他の人とは違う角度でめっちゃ良いやん!
ウケるって!
出せ出せ!
出せ出せってえーなんで消すの!??
うわーーー消した!!
うわーーーBブロック終わった!!
1答もせず終わった!!
ライブが終わったら先輩に告白するつもりだったけど、寿命が20日くらい減った上に両乳首が痛かったのでまたにすることにした。
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