おまつりとわたし

宗教上の理由でいわゆるお祭りというものは禁止されており、
並ぶ出店で好きなものを買ってもらった、などという記憶がない。

しかし実家の近くには比較的大きい神社があったため、
出かけた帰りにはお祭りの人混みの中を通らざるを得ない、という子ども時代だった。

祭りの起源は偽りの神をあがめるものだから、という理由だったので、
打ち興じる人たちを見ると、子どもながらに「あの人たちは悪いかみさまをすうはいしているのだ」
などと思っていた。

大人になってから宗教からは離れたが、胸の奥に少しの罪悪感を感じつつ、あこがれの浴衣を着てお祭りにでかけたり花火大会の出店を楽しんだり、あるときには神社でアルバイトをし、それが母にバレてしばらく無視されるという出来事もあったのだが・・・その話はまたいつか。

話を戻そう。問題は子を産んでからであった。

上の娘は5歳になり、そろそろそういう行事も楽しめる年齢になったけれど、
お祭りというお祭りが中止。

夏休みに家族でずっと何もせず家にいるというのも精神衛生に大変悪いので、
噂に聞けりおうち夏祭りとやらを計画、決行することに。

いわゆる出店によくある食べ物を並べ、ゲームなどをいくつか用意し・・・と考えていたけれど、
どうにもしんどくなってくる。
子どもたちを楽しませたいし、自分も楽しみたい。
でも、どうしても小さいときの自分が出てきてしまう。
私も子どもの頃、家族でお祭りに行ってみたかった。
近くの花火大会に行こうとしたことはあるけど、
父親がお酒ばかり飲んでいて結局行けなかった。
いいな、楽しそうだな、と思っても、あれは悪いことをしている人たちだ、と考えざるを得なかった。

料理を用意し(ほとんど冷凍食品ではあるが)飾り付けなどをしているときにも、
私の母はこんなに子を喜ばせようとしたことってあったっけ・・・などと考えて悲しくなってしまったり。
いやたぶん、なくはなかったし母も一生懸命だったし悪い人ではないんだけど、こうなるとどうしても宗教のせいで奪われた楽しみに考えが及んでしまう。

それでも、娘たちが「わぁーーーーい!!おーまつーりごっはん!!おーまつーりごっはん!!!!」と騒ぐので、
子どもたちが楽しいなら・・・!となんとか用意をした。
(途中、せかしてくるので少し怒鳴りましたが・・・)

結果、「ママ、今度はいつやる?」「明日、続きをしようね」などという感想が聞けたので、まあやってよかったのだとおもう。

私はいちいち、この行事の起源は偽りの宗教であるから・・・などと起源を理由に行事が禁止され、子どもの頃純粋に楽しめた行事は皆無だったので、
娘たちにはいろんなことを、シンプルに楽しめるようになってほしい。

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