102歳になるお茶の師匠と本当に久しぶりにお会いできて嬉しかったのと物欲地獄の一丁目に足を踏み入れた話
京都にいってきた。来年102歳になるお茶の師匠を訪問するためだ。なんとなく気まぐれで入ったこの裏千家の教室も師匠が好きでもう12年ほど続いている。
ただし、習うのは京都で2ヶ月に1回ほどなので、いつもほぼ忘れてしまう。一緒に習ってる生徒さん達も全員師範(お茶の先生)なので、師匠だけでなく5名がかりのマルチボイスで指導が来る。贅沢なものなのだが、順番でなく体の動きや姿勢を細かく指導されるのでこっちは必死だ。細かい指の動きや体幹まで身体中緊張させないといけなく、2,3日は全身筋肉痛になる程くたくたになる。その指導の厳しさは同行して見学した妻が「下鴨秘密倶楽部」と大阪の有名SM倶楽部をもじったあだ名をつけるほどだ。
今回、コロナ落ち着いて2年ぶりに稽古に行けそうとなり、少しドキドキして師匠に電話した。長くお会いできずにいたので、さすがに教室を閉じられたか、もしかしたら連絡ないだけで遠行された可能性もあるかと思っていた。ただ電話をすると全然元気。いつものお声だった。
師匠は老人のような所がない。耳も遠くないし頭の回転も早い。前にお会いした時はトランプ政権の話とインドのカースト制の話をした。健康の秘訣は日本酒と物欲だそうで「お茶なんかやっても全然、悟りません。逆に欲しい道具が次々出てきて物欲地獄の始まりや」とのこと。
そして、このたび自分も楽茶碗を初めて買った。小ぶりの楽茶碗は師匠が選んでくれたもの。お家元に「松雲」という銘もいただいた。節目の時に点てて飲もうと思うが、そうなると他の道具も格が合うものを買わないとなと思いはじめてる。これはヤバいものに手を出してしまった。物欲地獄の一丁目に愛でたく入ったようだ。
稽古後の帰り際に「また来れたらいつでもおいで、102歳の記念茶会もやるんでまた連絡するわ」と言って頂く。自分の方が先に死なないように気をつけよう。師匠を見てると歳を重ねるのが怖くなくなる。