国際協力を簡単に解説すると、実はやることは「2つ」しかない。
フリーランス国際協力師の原貫太です。今日はいつものエッセイとは違い、国際協力に関する解説記事を一つ書きます。
というのも、noteで国際協力に関するエッセイをちょくちょく書いていく上で、改めて国際協力という(曖昧で)(厄介な)言葉について、一度整理しておきたいと思ったからです。
僕は学生時代から国際協力を始め、発展途上国での支援活動に6年以上関わってきました。現在はフリーランス国際協力師という肩書を名乗りながら、アフリカでのボランティア活動と並行して、日本での発信活動に注力しています。
しかし、いつもモヤモヤとしていたことがあります。それは、「国際協力」という言葉の定義やイメージが、使う人によってバラバラだということです。
ある人は国際協力を発展途上国で行う現場支援というイメージで語り、ある人は日本政府が行う政府開発援助など、大きな枠組みで捉えています。
さらに別の人は、フェアトレードの推進やエシカル消費など、日本にいながらできることも含めて国際協力と定義しています。僕がこのnoteで国際協力という言葉を使う時は、基本的に三つ目の定義で使っていることが多いです。
国際協力は「国際」「協力」というシンプルな二つの単語から成り立つ、ある意味フワッとした言葉です。今後noteを更新していくことも考えて、改めて「国際協力」という言葉について簡単に整理しておきます。
国際協力に何となく興味はあるんだけど、全体像があまりよくわかっていない…。そんな方は、きっと参考になる内容です。
国際協力を簡単に解説すると、実はやることは「2つ」しかない
まずは「狭い意味での国際協力」について、簡単に解説をします。
ここでいう「狭い意味での国際協力」とは、要は「いわゆる発展途上国と呼ばれる国々に足を運び、現地で何らかの支援活動に取り組むこと」を意味しています。
国際協力に興味を持ち始めた人が、まず最初に頭の中にイメージする国際協力。それが、狭い意味での国際協力です(ちょっと日本語変だけど笑)
この狭い意味での国際協力を解説するだけでも一冊の本が書けてしまうくらいですが、、、
国際協力をめちゃくちゃ簡単に解説すると、実はやることは「二つ」しかありません。緊急援助と開発援助です。
緊急援助とは、どこかの国で台風や地震、洪水などの自然災害が発生した時、または紛争やクーデターなどの内乱が勃発した時、人々が今直面している苦しみを緩和するため、一時的に実施される国際協力です。人道支援とも言います。
その一方、開発援助とは、基本的には治安が安定して現地の人たちも普通に生活を送る国で、教育や医療、生計などを向上させ、「今よりも良い生活」を実現するため、恒常的に実施される国際協力です。
緊急援助と開発援助の違いを簡単に解説
狭い意味での国際協力には緊急援助と開発援助の二つがありますが、「その援助活動において、主役は誰なのか?」という視点で考えると、両者の違いがわかりやすいです。
緊急援助の主役は、その国や地域に支援にやってきた外国人です。
国際協力にある程度関心を持つようになると「大切なのは援助を受ける現地の人たち(=受益者)が主役になることだ」と考える人が増えますが、それはあくまでも後述する開発援助の話です。
緊急援助は一時的に行われるものだからこそ、例えば国連機関やNGOのスタッフなどの外国人や、その外国人をサポートする現地の人が主役にならざるを得ません。
地元の人たちは、どうしても「外国人に助けてもらう人」になってしまいます。
緊急援助の場合、台風や地震、戦争によって家を追われ、生活が困難になった人たちが、人間として必要最低限の生活を送れるようにするためのサポートを行います。
簡単に解説すると、今目の前にある苦しみを緩和するための国際協力、それが緊急援助です。
まず最初に行われるのが、食べ物と飲み水の支援です。気温の寒い地域なら寒さを凌げる衣服、また最低限の生活を送るためのシェルターやテントなどが建設されます。
国際協力に興味を持ち始めたばかりの人なら、国際協力といえば、こういった支援活動をイメージする人が多いかと思います。実際に僕に連絡をくれる大学生の多くが「将来的に国際協力を仕事にして、『難民支援』がやりたい」といったことを言っています。
難民支援は緊急援助の代表的なものですが、難民支援に関心を持つ人が多い理由の一つは「国際協力=緊急援助」というイメージでとらえている人も多いからだと思いますね。
一方の開発援助では、主役になるのは、その援助によって裨益することになる現地の人たちです。
例えば現地の人たちが、地元で起きている何らかの課題(学校の数が足りない/先生の数が足りない/公衆衛生の環境が整っていない等)を解決したいと思っている時、外国人が資金や技術の援助を通じて手助けしてあげる、それが開発援助です。
開発援助の主役はあくまでも地元の人たちなのに、外からやってきた外国人たちが張り切ってしまうと、それは「押しつけの国際協力」になってしまいます。
開発援助の失敗例に目を向ける際には、「その援助の主役は本当に現地の人たちだったのか?」という視点を持つと、なぜ失敗してしまったのか理解しやすくなるはずです。
で、大抵の場合、開発援助が失敗している時というのは、それを実施する側の政府や団体が主役になってしまっている場合が多いです。
開発援助の主役は、あくまでも現地の人たち。外からやってきた外国人は、彼らが望んでいること、やりたいことをサポートする形で協力するのが開発援助です。その意味で「国際”協力”」なのです。
この緊急援助と開発援助の違いについては、山本敏晴さん著作『国際協力をやってみませんか?』の内容を参考にしました。
以下の記事でも詳しく紹介しましたが、国際協力に興味を持ち始めた入門者の方には『国際協力をやってみませんか?』はおすすめの一冊です。
でもね、国際協力は海外での支援活動だけを指すのではない
ここまでは狭い意味での国際協力として、開発援助と緊急援助について簡単に解説してきました。
こうやって聞くと「国際協力って難しそうだな」「興味はあるけど、発展途上国に行くことは難しいな」と感じる人もいるかもしれません。
でも、あくまでも緊急援助と開発援助は、狭い意味での国際協力にすぎません。
何も国際協力は発展途上国に足を運び、現地で支援を行うことだけを指すのではなく、日本にいながらでも関わる方法はあります。
なぜなら国際協力とは、「世界を良くするためにできること」という風に、広い意味でも定義することができるからです。
例えば僕のブログでは、学生が日本にいながらできる国際協力として以下9個を紹介しています。(もちろん学生以外の方の参考にもなるはずです)
1. 国際協力に関する情報に触れ、発信する
2. 国際協力に関するイベントに参加する
3. 国際協力のプロを学校の講演会に呼ぶ
4. 学校の食堂にフェアトレード商品を導入する
5. 学園祭で国際協力に関する展示を行う
6. 学校の職員室に募金箱を置かせてもらう
7. 毎日の消費行動を改める
8. 国際協力NGOでインターンをする
9. 国際協力団体に寄付をする
こういったものも、「世界を良くするために行われている活動」という意味では、国際協力と呼ぶことができます。
そして僕は、そういった「日本にいながらも、自分の身近な所からやれることを実践し、世界に良い影響を与えていく」ことを、国際協力として捉えています。
一つ一つの行動には、それほど大きなインパクトはありません。しかし、長期的な視点に立ち、社会に大きなうねりを生み出していくためには、僕たち一人ひとりが自らのできることを実践していくことが、本当の意味で平和な世界につながるのだと、僕は信じています。
さいごに
国際協力について、簡単に解説してみました。
最初にも書いた通り、国際協力は「国際」と「協力」という抽象的な単語によって成り立つ熟語だからこそ、その定義やイメージが使う人によって変わってしまう、曖昧で、厄介な言葉だと思っています(笑)
だからこそ、国際協力の意味について簡単にでも整理しておくこと、そして国際協力に関わる一人ひとりが、自分なりの定義やイメージを持っておくことが大切です。
僕のブログでは国際協力をさらに詳しく解説していますので、ぜひ以下の記事もご覧になってみてください。
【国際協力に携わる方法、一緒に考えてみませんか?】
「国際協力に漠然と興味があるけど、どのように携わればいいかわからない…」
「国際協力やSDGsに興味はあるけど、身近に語り合える仲間がいない…」
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ネットで手に入る国際協力の情報は、それほど多くありません。特に、実際に働く人たちの"ナマ"の声に触れられる機会は少ないですよね。
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