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映画「関心領域」
ごく平凡な生活の映像の中に、明らかにおかしな背景、音が入ってくる。
有刺鉄線の張り巡らされた塀、人を焼いたであろう煙、怒鳴り声、銃声、悲鳴。
家で過ごす人々は聴こえているはずなのにあまりにも無関心、いたって普通に暮らしている。
最後の最後に、現代で当時のものが展示されている様子を通じて、作中における塀の向こう側でどんだけ悲惨なことが起きていたかを観客に想像させる。
自分に関わりのないこと、どうでもいいことだとここまで無関心になれるのかと、人間の残酷さをまじまじと見せつけられた。
そして、今生きている我々だって、街中のホームレス、生活保護、自殺、トー横、自分は関係ないから、ああなることはないからって見て見ぬ振りをしているのではないか。
電車の人身事故はまた起きたよと言う人がいるほどの感覚であったり、汚らしい身なりをしている人には絡まれないように少し避けて歩いたり、、
過去の出来事を題材にした映画を通して、今も我々が無意識のうちに無関心の残酷さを振り回しているということに気付かされた、というより喉元に突き付けられた感覚。
人間の持つ醜さは昔も今も何も変わってない。
しかもそのことには気付かず全員が善人面して生きてる。
想像力は必要であったが、色々と人間の在り方を考えさせられる良い映画。
あと、歴史を学ぶことは改めて大事なことだと思った。