「お疲れ様」の文化
「お疲れ様で~す!」
と、Kはリモート会議を始めた。
ディスプレイの向こうの参加者も、
「お疲れ様で~す!」
と声を揃えている。
朝オフィスに入っていく時、
廊下で同僚とすれ違った時、
疲れていなくても「お疲れ様です」と言う。
慰労や感謝というわけでもなく、普段の挨拶になっている。
中国語では、「辛苦了!」、
英語では、Thanks for your hard work!
など、似たような表現はあるが、挨拶代わりに使ったりはしない。
日本人は、働き者なのか、真面目すぎるのか、
ヒマだとか、楽をしているとか言われるのが嫌いで、
「お疲れのようですね~」
「ご苦労されてますね~」
と言われる方が、気分がいいようだ。
言われて気分がいいから、相手に対しても、
「お疲れ様」
「ご苦労様」
と言うのが口癖になって、いつの間にか普段の挨拶になってしまった。
民族性が出ている言語習慣なのかな、とふと思った。