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32人学級がベストなわけ

本日目にしたニュースはこれだ。

 「政府は23日、公立小学校で実施している「35人学級」を、中学校でも2026年度から導入する方針を固めた。」

 10年遅いわ!おい、それもやっとこさ中学だけかよ。高校はどうした高校は!この程度でドヤ顔してんじゃねえよ!

 
 もう教職は2年前に退きまして、非常勤講師のお話(現場では先生が本当に足りてないんですよね)もすべてお断りしている自分ですから、クラスの定数が今更どうなろうと知ったこっちゃあない。

  なんですけど、いろんなタイプの高校で、担任の心労の大きさを身に染みて経験してきた者としては、「国が本気で教職志望者を増やしたいのなら、授業内容2割削減、クラス定数2割削減」を即刻やるしかない、と確信しておるのです。

 部活動を諸悪の根源だとやり玉に挙げて、部活動さえ無くしてしまえば、先生は人気の職業に返り咲くだろう、なんてピンボケも甚だしい。

 今の先生の本当のしんどさは、そこじゃない。

 神戸市の「中学の部活やめます」は、休日付き添いをいやいややらされていた教員にとっては朗報だろうが、「地域移行」は絶対に上手くいかないです。かならず数年後、神戸で事件が起こります。断言していいです。

 部活動を無くすのは勝手だが、「地域移行」なんて、できもしない夢みたいなことを偉そうに語るな、と言いたい。

 授業内容2割削減については別の投稿で書いたから、今回はクラスの人数の話です。

 高校教師が「新学期から、どこのクラスの何の授業を、合計週当たり何時間担当するか」というのを決めだすのは3月の中旬ごろでしょうか。
 各教科内で調整して教務部に教科代表が原案を提出します。

 この時に、「選択教科を受け持つ」というのはある意味、魅力的です。
必修科目の授業だと、クラス40人の教室で授業をするわけですが、選択教科の場合、選択した生徒が25人くらいしかいないようなことも結構あって、こういう授業はとっても「やりやすい」。
 テストの採点の答案枚数も25枚でいいし。ひとりひとりの授業中の様子に目が届きます。

 40人の学級の場合、机の並びは6列で、廊下側の端の列と、窓際の端の列は6人、そのほかの4列は7人。
 7×4列 + 6×2列 これで40人。大阪府立高校の教室は基本この並びだ。

 これで教室はもういっぱいいっぱい。でっかいカバンをみんな床に置くから、授業中に机間巡視なんて、なかなかできません。

 これを32人学級(定員2割減)にすると、どうなるでしょうか。
 机の並びは6列のままだが、廊下側と窓際の端っこ2列は4人、中央の4列は6人 にできます。


32人クラスの座席表(班)

 英語の授業中に、ちょっとしたクエスチョンを与えることがあります。
 Why are you for school uniform?   
「さて、君たちはどう答えるかな?ちょっと班で2分間話し合ってみてくれ。あとで班代表に発表してもらいますね」
なんてことがすぐできます(欠席者がいない前提ですが)。

 一列に6人だと、おそらく教室後方に十分なスペースができるので、机間巡視もしやすくなると思われます。教師のフットワークが良くなるのです。

  いや、もう子供も減ってきてることだし、思い切って25人とか20人はどうでしょうか?というご意見もあるでしょう。

 学校の大切な役割のひとつに、「集団でもまれる経験をしながら、協調性や公正さの大切さを学び、社会性を身に付けて行く場所」というのがあります。

 塾では勉強だけしか教えないが、学校ではむしろ、教科学習以外の「疑似社会」経験のほうが大切であると思います。
(だから行事とか、部活動は無くしてしまうんじゃなくて、内容は昔と比べて ゆるーく でいいから、存続させておくべきだと思うのですよ。)

 25人を下回ると、集団としてのパワーがぐっと下がってしまいます。
確かに授業自体はすごく静かになるし、教師にとってやりやすいといえばそうだけど、「文化祭で何かを創ろうとか、体育祭でクラスのみんなで優勝めざして頑張ろう!」とかいった若いパワーは出てこなくなってきます。
 
 これは単なる個人の経験から言ってるだけで、科学的な根拠はありません。

 でも高校の現役教員の皆さんは「ひとつの学級に生徒40人は多すぎ。
ひとりひとりの生徒に向き合う時間がとれない」と感じているはずです。

 「高校も35人にしてやろう」とドヤ顔で文科省が発表するのは10年後か、20年後かーーー。

 私はそのころにはもうボケ老人になっているはずです。

 その時こそ、教員のみなさんは一斉に声を上げて欲しい。

「32人学級こそベストなんだ!」



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