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貴方ならどうする? チェンマイナイトマーケットでJKシンガーに遭遇(前半)

 8月7日から1週間の夏休みということで、夫婦でタイ北部の都市チェンマイへ行っておりました。
 結婚間もないころに(もう数十年前のことですわ)夫婦でチェンマイには行ったことがあるのですが、その当時は大阪チェンマイ間には直行便はありませんでした(伊丹から香港経由のキャセイパシフィック利用が一般的だったと記憶してます)。
 なので、バンコクから列車で北上して、アユタヤ、ピサヌロークにチンタラ泊まりながら3日くらいかけてチェンマイまで行きました。

 今年の2月から関空チェンマイ間にLCCのVIETJET航空が直行便(所要6時間)を開設してくれたので、「せっかく大阪から直行便が飛んでるんだから、久しぶりにチェンマイに行ってみるか」ということになった次第。

 チェンマイはトレッキングや山岳民族に興味のある方にとっては周辺の村を探検する際の拠点になる町ですが、私はそういうアドベンチャー路線の柄ではないので、チェンマイの楽しみはもっぱら食べ物と買い物。

 北タイ料理は何を食べても絶品だし、買い物はそりゃもう、毎日夕方になれば、そこらじゅうでナイトバザールが始まるので、ぶらぶら歩いているだけで楽しいのです。

寺院とか仏塔なんかはもうどこも同じようなもんだから、ひとつ有名どころに参拝に行っとけばもう十分です。

 バンコクほどの熱気はないけれど、その分スローなペースで散策を楽しむには最適の落ち着いた町だと思います。

 で、そういった旅行ガイド的な記事は旅ブロガーの方々が詳しく紹介してくださってるので、ここでは全部カットします。

 関西軽音楽振興会の設立趣旨は「アマチュアミュージシャンを応援する」ことだから、以下の話は振興会の会員の皆さんには非常に関心のある話のはずです。どうぞお付き合いください。

 チェンマイのナイトマーケットは平日の夕方6時ごろから夜中まで、町中の空き地や寺院の境内を利用してそこらじゅうで開催してます。

 ただ、土曜日はチェンマイ門の周辺でサタデーマーケット、日曜日はターペー門が起点となるサンデーマーケットが歩行者天国となって開催されるので、週末には外国人観光客はみんなサタデーマーケット、サンデーマーケットに集まってくるのです。

 毎週末に天神祭りをやってるようなもんで、歩行者天国と化した1キロくらいのストリートにありとあらゆる屋台や土産物屋、ストリートパフォーマーが出現するのです。

 さて、「これを観ずしてチェンマイを語るべからず」といわれているくらいですから、8月10日(土曜日)はトゥクトゥクに乗ってサタデーマーケットへ行ってみました。

 あまりの人込みと蒸し暑さに閉口しながらもトロトロと歩を進めていきます。かなりの混雑です。

 歩いていくと、雑踏の真ん中でフォークギターを弾きながらタイ語の歌を歌っている制服姿の女子高校生がいました。
 エレアコとヘッドセットマイクを簡易PAにつないで、混雑する道のド真ん中でスタンディングで歌っています。

「おお、きれいな声やし、歌も魅力的やん。ギターの弾き方もストロークもフィンガープレイもしっかりしてるわ。」と感心して近づいていくと、足元にダンボールで作った白い箱が置いてあります。

 その箱に、英語で「Help me go to school」その下には漢字で「奨学金」と書いてあります。

 彼女の想いを私なりに解釈すればたぶんこうだ。
「私は音楽大学で音楽を学びたいのですが、家が貧しくて進学するお金はありません。観光客のみなさん、私の歌が気に入ったなら、学費を援助してくださいませんか。」

 改めてよく見ると、なんと彼女が弾いているエレアコはYAMAHAブランドじゃないか!
 
 さて、観光客たち(欧米4割、中国3割、韓国2割、日本人1割)の反応はーー?

 立ち止まる人は皆無、ましてや白い箱に募金をする人はいない。

 「なんてみんな薄情な奴らばっかりなんだ!この世界の不公平と不条理を何とかしろよ!ジョンレノンが生きてたら嘆くぞ!」
と怒りを覚えますか?

 いやいや、実はですね。この歩行者天国には、彼女だけではなく、ワケありのパフォーマーが10メートルおきに立って、道の真ん中で何らかの音楽演奏をやってるのです。

 一番多いのが盲目の歌手です。制服の女子高校生も多いんだけど、その3倍はいるんじゃないかな。

 だから、一旦募金を誰かにあげちゃうと「キリがない」のです。
だから観光客の皆さんも「あえて見ないふり」をしているんだろうなーと好意的に解釈しています。

 ただ、雑踏に立ってYAMAHAのエレアコを上手に弾きながら天使のような声でタイ語の歌を歌う女子高校生に対しては「ああ、こんな才能を持った子には勉強するチャンスが巡ってきますように」と思ったのでした。

もし私が韓国ドラマ「財閥家の末息子」の主人公みたいな人間だったら、彼女を即ソウルに招待して大学に通わせて、プロデビューまで面倒見ることでしょう。

しかしながら私は衰退国日本の小市民。そんな大金は持ってないし、そもそもさっきまで、150バーツのTシャツを120バーツに負けてもらおうと必死に屋台のおねえさんと交渉してたオッサンである。

 YAMAHAのギターに敬意を表して、私は彼女の幸運を祈りながら、白い箱にお札を入れた。
 
 彼女は歌いながら軽く会釈をしてくれた(ような気がした)。

 さて、ここで私はあなたに問いたい。

 あなたならこの状況で、白い箱にタイバーツでいくら入れますか?

 ちなみに1バーツは4円。チェンマイではスムージーや麺類が30バーツくらいで買えます。

(後半へ続く)

 

 

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