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義足から貧困を考えた夜。

友人に誘われたオンラインイベントがめっちゃ良かったので「よーし互いに感想文書こうぜ!」って言いあって、友人はイベント3日後くらいに送ってきてくれたのに、私は1週間以上たっても書けていなかった、そんなイベントレポートです。


オンラインイベント「ルワンダで義足アスリートが生まれるためには」に参加

参加したのはこちらのイベント(リンク)。
【xXiborg Talk vol. 0 One Love Project x Xiborg
「ルワンダで義足アスリートが生まれるためには」】

メインスピーカーは主に2人、モデレーターが1人
【イベント主催者】遠藤謙さん:イベント主催者株式会社Xiborg代表取締役。ロボット義足、途上国用義足、競技用義足の研究開発に取り組んでいる(Wikipediaより)
【ゲストスピーカー】ルダシングワ真美さん:ルワンダで義足を通して障がい者の方々の支援をする「ワンラブ・プロジェクト」を運営するパワフルな方(主観)
【モデレーター】為末大さん:男子元陸上競技選手。(Wikipedia
ソーシャルセクターの活動にもいろいろ従事している印象(主観)

端的に言えばアスリート向けの義足開発をする会社×ルワンダで義足を普及する活動を続ける団体のイベントでした。このイベントにおける一番の問いは「世界中の人が”普通に”日常的に楽しく走れる社会のために何ができるか」個人的には難しい問題だったこともあり、答えは出なかったと思っていますが、いろいろインプットがありました。


ルワンダの実情

ルダシングワ真美さん(以下、真美さん)は1997年にルワンダでの義足を普及する活動を開始しました。活動を開始する3年前の1994年、ルワンダでは近隣の住民同士が殺しあう未曾有の内戦が起こり、3ヶ月で約100万人が犠牲になったと言われています(ルワンダ虐殺)

虐殺で命を落とした方がいると同時に、命があっても足を失うことになった人も増加しました。真美さんは「足を失った人の支援」と「そういった人たちを支える義足装具師の育成」を目的に活動をスタートしました。

本来であれば義足の製作費や人件費が必要なので、支援した人から料金をもらいたいところですが、ハンデを負うルワンダ人はお金がないため、無償で義足を提供しているそう。そのため、義足の素材自体も安価なものにせざるを得ないということでした(そもそも高価な素材も手に入らないという課題も)

現地で義肢製作所を建てて活動してきた真美さん。が、去年のクリスマスに大雨が工場を襲い、過去最大の被害が出ます。政府も「この土地に人は住まわせられない」と判断、その結果…

政府が!工場を!問答無用で!重機で破壊!

「そんなことある…?」って声出ました。ちなみに政府から補償は一切なかったそうです。そんなことある…?

現在新たな工場を建設中で、そのための資金を工面する目的もあり日本に帰国したそうですが、567のせいで色々スタックしているんだとか…。寄付も募ってらっしゃいます(リンク


「人間は走ることをやめない」Xiborg

遠藤さんは「人間の行動規範を変える技術者になりたい」という思いからXiborgを設立し、企業と連携をしながら板バネを使った義足の制作などを行っています。

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板バネです。画像はXiborg社さんのWEBサイトから拝借してます。

義足でも走ろうとする人がいる、567禍でもランニングをする人がいる、「人間は走ることをやめない」誰もが走ることができる社会を作る。

板バネでアスリートを支えるXiborg社。とはいえ、コスト面の問題で日本でも板バネを買う人はなかなかいないんだとか。だからこそ、義足が当たり前でハンデではない社会を目指す必要があると感じました。

Xiborg社はラオスで義足のアスリートを生み出すことに成功したそうで、ではルワンダで義足のアスリートを出すには?という話に。


ルワンダで義足アスリートを生むための課題

話を聞いていて思ったのが、まずルワンダにおける前提条件は他国と全く違うということでした。

・義足の人は先の大虐殺のこともあり多いため、社会にとって当たり前のこととして受け入れられている
⇒義足の人が当然のように受け入れられる社会であるのは良いことだと思います
・しかしながら、職に困窮している人たちは多い
・アスリートを目指すとしても、まずは「目の前の生活」が第一であり、「金になるのかならないのか」が重要
・健常者障がい者関係なく、ルワンダにはスターがいない。そのポジションに立てるのは大統領のみ。音楽だとこの人…スポーツだとこの人…という突出した人がいない
⇒なので、「この人みたいになりたい!」みたいな目標や夢を持ちづらい(推測)


まずは「ルワンダから義足のアスリートが生まれた」という一事例を作ることが重要ではあるけれども、そのファーストステップがまず出せない。お金になるとわかれば目指す人は増えるかもしれない、でも現実はそうじゃないし、目の前の生活が第一であるのはルワンダでも、そうじゃなくても同じ。義足のアスリートも、歌手も、作家も、スターになる前段階で「生きられる保証」があるから、目指すことができるんじゃないか…と思うのです。

かといって、じゃあお金を渡して生活を補償すればいいのかというと、それも1つではあるけれども、恒常的にできることではないし、根本的な問題である貧困の解決にはならない。「義足でもそうじゃなくても、国民1人ひとりが生きていける社会にしなくてはならない」と思うので、ねーもー、むちゃくちゃ難しい問題だなと思いました。


イベントに参加して

【そもそも論】を解決しないと次に進めない?のか、そうではない道があるのか…イベントから1週間以上経ちましたが答えは出ずって感じです。

ですが、表面化している問題を社会化(=社会的な課題にする)して、事業化(=それを解決するための事業を実施する)して、制度化する(=国として取り組むようにする)にはまず問題を知らなくては始まらないので、こういうインプット⇒思考することはむちゃくちゃ大事やなと思いました。

当たり前なんですけどね。国民一斉強制ひきこもり期間なんで、またこういうイベントは参加しよって思いました。ごめん、友人、時間かけた割にうっすい感想しか出んかったわ…。


(最後に余談)オンラインイベントで感じたメリ/デメ

このご時世なのでzoomでの開催でしたが、特に不便は感じられませんでしたが、気づいたメリ/デメまとめました。
■メリット
・プレゼンする側も画面共有をしてスライドを活用しながら話せるので、リアルな会場だと画面見えづらいとかもあるかもですが、その問題がない
・参加者がチャットで気軽に質問できる。主催者側も質問の取捨選択が可能
・食べながら飲みながら気軽に参加できる(但し、ビデオとマイクがオフになっているかは要確認)
■デメリット
・参加者が申込者本人かどうかの確認が難しい
今回のイベントではpeatixで申し込んだ名前とzoom名を一致するようお願いがありました。申込者宛にパスワード付きzoomアドレスの案内が来ましたが、それでも申込者が申し込んでいない知人にURLシェア等もできてしまうと思うので、主催者側にとって課題かなぁと(有料イベントだと特に)



あー不確実で変革する世の中に生きてるって思わされますね。

参考リンク

ムリンディ/ジャパン・ワンラブ・プロジェクト
Xiborg(写真は旧WEBサイトから拝借してます。新WEBはめちゃシンプル)


「スキ」のリアクションだけでも大変ありがたく思っております。