見出し画像

高齢期も幸せにすごすために

**以前に仲間とオムニバス形式で出したnoteの一部。高齢期の人とのかかわりについて書いてみました。**

**********************************

【はじめに】


こんにちは。
かのかの🍀と申します。

普段はTwitterで脳や身体を健康に保つ方法などを図解を使って投稿しています。

そしてリアルでは、30年あまり理学療法士として働き、そのうちの約25年を介護老人保健施設や訪問リハビリテーションで過ごしてきました。

その間、約3000人の高齢の利用者様と出会いました。
日常生活になんらかの支障を抱えている方々です。


そのなかにも、毎日笑顔で楽しそうにしている方と、覇気がなくつまらなそうにしている方がいます。

この違い、なぜだと思いますか?

どうせなら、毎日を楽しく過ごしたいですよね。

ですので、今回は幸せな老後を送るためのヒントについてお話したいと思います。

最後までお付き合いくださいませ。


【喪失体験のストレス】

リタイア後の生活

みなさんの想像するリタイア後の生活、こんな感じではないでしょうか。

パートナーと悠々自適にくらす。
ときどき子どもや孫たちに囲まれて楽しいひと時を過ごす。
それまで十分にできなかった趣味や旅行もやってみたい。


でも、そううまくはいきません。

いくつもの喪失体験

高齢期に共通する出来事、それは喪失の体験です。


まずは、仕事。
定年を迎え、それまで生活の中心だった仕事がなくなります。

仕事一辺倒だった人ならなおさら、その仕事から離れることに大きな喪失感を伴います。

そして、家族や友人、ペット。

愛するパートナーや仲のいい友人、かわいがってきたペットもいつかその生を終えます。

その喪失感の大きさは想像に難くないでしょう。


みなさんの周囲にもいませんか?

退職や親しい人・ペットとの別れを機に大きく肩を落とし、いつまでも立ち直れずに一気に老け込んでしまったり、認知症やうつ病を発症してしまったりした人。

それだけ、喪失体験による孤独感や不安感は人に大きなストレスを与えるのです。


【幸せな老後に必要なもの】

人生100年時代。

平均寿命は男性81.47年、女性87.57年(2021年)。
2人に1人は90歳まで、4人に1人は95歳まで生きます。

リタイア後、じつに20年以上もの時間があります。

この期間を幸せに過ごすポイント。

それは「人とのかかわり」です。


減る欲、増える欲

食欲や性欲に代表される人間の生理的欲求は加齢とともに減少します。

それは生理的欲求のもと:ドーパミンというホルモンの分泌量が減るから。

ただ、減る欲もあれば増える欲もあります。

それが「幸せに対する欲」

マズローの五段階欲求説

一番下に生理的欲求があって、それが満たされていくと社会的欲求、最終的に自己実現の欲求が出てくる。

若い時は生理的欲求が強いけれど、歳とともにバランスがかわり社会的欲求の占める割合が高くなります。


つまり、高齢期には人とつながり、人に貢献することを求めて幸福感を得たいと思うのです。

そのためには、腹を割って話せるパートナー・友人、共通の趣味・嗜好をもつコミュニティーが必要です。

そして、多くはなくていいので複数ほしいところです。



人とのつながりと幸せホルモン

ところで、幸せホルモン「オキシトシン」って聞いたことありますか?


オキシトシンは本来、脳の視床下部から分泌されるホルモンで、妊娠・出産・授乳や子の愛着形成など親子関係の構築に大きく関与するものです。

でも、最近はその抗ストレス作用、抗うつ作用が注目されています。

この分泌が増えると、不安感が軽減し、相手への信頼感が高まり、安定した心持ちで過ごせます。

そして、このオキシトシンは人とのつながり、とくに、仲のいい家族・友人・ペットなどとのスキンシップでより多く分泌されることが分かっています。

さらに、オキシトシンは人のやる気や意欲を生み出すホルモン・ドーパミンを活性化させます。

やる気に満ちて意欲的に毎日を楽しんでいる人はやはりキラキラ輝いて見えますよね。


仲のいい人、コミュニティーが複数必要なわけ

人とのつながりが幸福感を生むけれども、その喪失が不安やストレスを生む。

だからこそ、仲のいい人・コミュニティーは複数必要だと思います。

いずれかを失くした時、もちろんその代わりにはなれないけれど、他の人・コミュニティーがあなたの支えになってくれるやもしれません。

心のよりどころが複数あれば、大きな喪失感の与える不安や焦燥感にも負けずに済むかもしれないのです。


【人を救うのはやはり、人】

毎年発表される国別の幸福度ランキング。

北欧諸国が上位に名を連ねますが、2022年の発表では日本は54位です。

幸福度はけして高くありません。

また、内閣府の調査では、60歳以上の3人に1人が「親しい友人がいない」と答えています。

定年後の自由な時間を自分らしく楽しく幸せに暮らしたいと思っているのに、実際は親しい友人もなく幸福感も感じていないのです。


笑顔の絶えないAさん

Aさんはデイケアに週3回通ってくる女性です。

・70代半ば
・52歳の時、脳出血を発症
・左半身マヒ、車いすでの生活

発症してしばらくは、「生きていても仕方ないから、研究のためにこの体を使ってください。」と何度も先生に言ったそうです。

でも、デイケアに来る彼女は笑顔にあふれ、いつも周りには人だかりがありました。

絶望していた彼女を救ったのは、夫や友人たち。

あるときはAさんの指示を受けながら梅干しをつけ、あるときは一緒に買い物に行き、笑顔で食卓を囲んだ夫。

車で彼女を迎えにきては別の友人宅にお菓子や漬物を持って集まり、みんなで出前を取って女子会した友人たち。

そんな人とのつながりが、彼女に笑顔を戻したのです。

一緒に活動し外に出れば、体の衰えも予防できます。


今から作っておきましょう

人とのつながりは一朝一夕にはできません。


パートナーとの関係が心配だったら、今から再構築しましょう。

「非日常」のことを一緒に体験すると、その時の嬉しい気持ちが長続きするそうです。

ないがしろにしていた記念日。
普段は行かないレストランで食事をしてみてはどうでしょう。
プレゼントもしましょう。

親しい友がいないなら、今から作っちゃいましょう。

同じカフェやレストランでよく顔を合わせる人は、嗜好の好みが似ている人です。

犬の散歩中に声をかけてくる人は、すでにあなたに興味を持っている人です。


SNSも面白い

人との付き合いは苦手という方にお勧めなのが、SNSです。

ランチオフ会

先日、Twitterで交流のある仲間たちとランチオフ会をしました。
以前の私は、顔も名前もわからない人と会うなんて考えられませんでした。

でも、見つめるゴールは違っても同じ志のある者同士、話が弾んで楽しいひと時を過ごせました。

お互いの目標を応援しあい、再会を約束しました。

SNSでの出会いもこんな楽しみがあるんです。

いまや、70代でもおよそ半数がスマホを持っています。

SNSを利用することで、世代や男女の枠を超えてつながりができやすくなります。

もちろん、SNSやスマホの使い方にはちょっとした工夫は必要ですが、
これは高齢者にかぎらないこと。

自分の脳と体を守りながら、適切に使いたいです。

【おわりに】

いかがでしたでしょうか。

以前、こんなツイートをしました。

ひとは社会性の動物です。

人とのつながりが認知症の予防にも効果的です。

そしてなにより、孤独の中では幸福感は得られません。

小さな輪でも強い輪をつくる。
その輪をできれば複数つくる。

あなたが安心できる居場所、今から作っていきましょう。





いいなと思ったら応援しよう!