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株式市場見通し|2025年1月30日(木)

日本時間の今朝4時には米FOMCの結果が公表され、4時半からはパウエル米FRB議長による会見が行われました。

FOMCでは、市場で事前に想定されていた通り、利下げが見送られました。

また、パウエル議長も会見で、利下げを急ぐ必要はないなどと話しています。

FOMCの結果公表時の市場の動きを確認すると、米長期金利は、利下げの見送りを受けて4時頃に上昇する場面がありました。

ただ、パウエル議長の会見が始まると、金利が上昇基調を強めるような材料はないとの見方から、低下に転じています。

米10年債利回り 日足チャート 2024年8月13日~2025年1月30日

米FOMCを受けても、金利の先高感が高まることはなく、ほぼ無風通過になったとみて良いでしょう。

しかし、昨夜の米国株式市場では主要3指数が揃って下落しています。

これは【NVDA】エヌビディア(前日比4.10%安)の下落による部分が多いでしょう。

「トランプ米政権の当局者は、半導体大手エヌビディアの中国向け販売に追加的な抑止策の導入を検討している」などと伝わったことが、エヌビディアの株価を押し下げました。

ブルームバーグは関係者の話として、「トランプ政権が関連部局の人員配置を始めたばかりであることを踏まえると、規制に関する決定はまだ先になるだろう」ともしています。

規制に関する決定がまだ先になるということは、それだけ長い間、不透明感が続くということです。

そのため、当面はエヌビディアの上値は重くなってしまうとみられます。

エヌビディアの失速は、アドバンテストなど、日本の関連企業の失速にもつながります。

加えて、日本など同盟国の半導体企業にも、対中輸出を規制するように圧力がかかる可能性もあり、半導体株の上値の重さが続きやすい環境です。

一方で、前日の日本時間15時には、オランダの半導体大手ASMLホールディングスがに発表した第4四半期決算が好感され、日本の半導体関連株にも買いが向く場面が見られました。

こうした足元の事業環境の好調さは半導体企業の下値を支えるとみられますが、先々への不透明感が上値を抑えると考えられます。

そのため、4万円台定着は遠のいていると、考えておくのが良いでしょう。

米国が、中国に対する輸出規制を強化しようとしている背景にも、やはりDeepSeekが開発した新たなAIの発表があります。

「マイクロソフトとオープンAIは、ディープシークと関連のあるグループがオープンAIの技術から出力されたデータを不正な方法で入手したかどうかを調査している」などとも伝わっており、不正を理由にトランプ政権が輸出規制や関税の引き上げを進める可能性が意識され始めています。

関税引き上げに関するニュースにも注意して売買を進める必要が増しています。

ただし、昨夜の米国株式市場では、値を上げる銘柄も多かったです。

NYダウ 米国株ヒートマップ 2025年1月29日

米国では企業の決算発表が本格化しているため、業績を手掛りとした売買が広がっているようです。

特に日本時間の今朝はハイテク大手の決算が相次いで発表されましたので、市場の反応をまとめておきます。

まず、決算を受けて時間外取引で8%超の大幅高となっているのが、クラウド、AI、コンサルティングを中心としたITサービスの大手企業である【IBM】IBMです。

法人向けのAI需要の伸びを背景として、売上高の成長が続き、好感した買いが波及しています。

また、【META】メタ・プラットフォームズは決算発表を受けて時間外取引で売られた後、買い戻される動きに。

ガイダンスで第1四半期の売上高見通しが予想を下回ったものの、ザッカーバーグCEOが電話会見で、「今年は同社のAIモデルは著しい進歩を遂げるだろう」などと発言したことが好感されました。

また、【TSLA】テスラも時間外取引で4%超の上昇を見せています。

10-12月期の利益は市場予想を下回り一時は売られたものの、今年の納車台数が増加するとの予測を示したことが好感され、買い戻されています。

一方、【MSFT】マイクロソフトは、クラウドコンピューティング事業の成長鈍化などが嫌気され、時間外取引で5%超下落。

同社はオープンAIに巨額の出資を行ってきたこともあり、DeepSeekの登場が打撃になると警戒されているようです。

ハイテク大手決算を一通り見ると、値を上げている銘柄の方が多いため、今夜の米国株式市場では落ち着いた個別物色が行われる期待が高いでしょう。

日本株市場でも、指数の上値が重くなるなかで、個別銘柄に企業業績を頼りにした物色が続く期待ができそうです。

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