骨せんべい
骨せんべいは米菓ではありません。
魚の骨を油で揚げたものです。
魚を三枚に下ろしたときに骨の間にはまだ身が残っています。
これを捨ててしまうのはもったいない話です。
マグロのような大型の魚は解体した後の骨の周りに身がたっぷり残ります。
これを貝殻やスプーンを使ってこそげ落とします。
いわゆるマグロの中落ちと呼ばれる部分です。
キスやサヨリのような小型の魚ではほとんど中落ちが取れません。
その代わり骨ごと油で揚げるとおいしくいただけます。
それが骨せんべいです。
三枚に下ろした骨は濃いめの塩水にしばらく浸けてから干します。
繊細なので直接塩を振るよりは塩水に浸けた方が均等に塩味がつきます。
夜風に一晩吹かれると水分が抜けてちょうどよい感じになります。
それを素揚げにするか粉をはたいてカラリと揚げます。
熱々のところを食べるとまるでおせんべいのようにサクサクです。
三枚に下ろした魚ならアジでもサンマでもイワシでも作れますが、サバは骨が堅いので骨せんべいには向いていません。
サバのアラからこそげ落とした身を丸めて油で揚げます。
これをサバ団子といいます。
しかしサバ団子を作った後の骨はどうすればよいでしょうか。
残った骨は船場汁に仕立てることができます。
いったん湯通ししてからダイコンと一緒に煮ます。
塩と醤油で味を調えてショウガのしぼり汁を加えます。
サバのアラだけでこんなにおいしい椀ができるのかと感動します。
船場汁は大阪の商業の中心地である船場で作られました。
食べものを無駄なくおいしくいただこうとする工夫が見られます。
大阪商人の優れた気質を感じる一品です。
骨せんべいはいつどこで作られたのかわかりませんが、
船場汁と同様に魚を無駄にしない料理法です。
ここまでおいしく食べることができれば魚も浮かばれます。
ごちそうさまでした。