ひいおばあちゃんと戦争の話
大正11年生まれの曾祖母は、私がハタチを迎えた年に亡くなった。91歳だった。
曾祖母が亡くなる3年前、曾祖父が同じく91歳で逝去すると、曾祖母はあっという間にボケてしまった。私の名前も存在も忘れてしまうほど。それでもとても穏やかな人柄は変わらず、毎回「初めまして」と言って私の話をよく聞いてくれ、そして私のことを「なんて可愛い子だ。美人さんだ。」と言ってくれた。曾孫のことを褒めちぎるのは以前と変わらない曾祖母の姿だったので、私の名前を思い出せなくても、それほど寂しくはなかった