400字で分かる落語「浮気の泡」
「う」の97:浮気の泡(うわきのあわ)
【成立】 部長に呼ばれた佐々木君、以前一緒に行ったバー「ヒマラヤ」の雪江を口説いていると告白される。今度の週末に自宅で接待麻雀をやるが、そこで話題にしないようにという口止めだった。さあ、大変、佐々木君も雪江目当てにヒマラヤに通い詰めているのだ。その夜ヒマラヤへ行くと、言い寄っているのがひどい男だと説明するが、雪江に言い寄る男は多く、会社の上司と言えないから誰のことだが分からない。もうしょうがない、今夜僕と付き合ってくれと言うと、夫と子供がいるのよと告白される。
翌朝、がっかりして部長に報告、
「夫と子供がいるって、誰に聞いたんだ」
「そりゃ本人……をちょっと知っている人から」
「その夫が暴力団ということも知っているか」
「え、そうなんですか」
「だから、君もあの女を追い掛けるのはやめた方がいい」
「へえ、女は怖いなあ……それを付き止めたのは、部長、あなたですか」
「いや、君のかみさんだよ」
【成立】 田部あきらが桂米丸のために書いた創作落語。「穴」は欠点で、落語では「廓の穴」「芝居の穴」など、小噺を集めたものに使われている。