
400字で分かる落語「いざりの川渡り」
「い」の21:いざりの川渡り(いざりのかわわたり)
【粗筋】 旅の一行が川に差し掛かるが、深そうに見えて渡し船も渡し屋も見えない。見ると、川の中央で、男が首だけを出して渡っている。あそこが渡れるが首までつかると、全員着物を脱いで川へ入るが、いくら行っても深くならない。首をかしげていると、前の男が岸へ上がるのを見たら、いざりだった。
【成立】 正徳2(1712)年『新話笑眉』お「川越し巡礼」。色々な小噺集に引用され、文化9(1812)年、十返舎一九の『木曽街道続膝栗毛』巻3にもそのまま取り入れられている。いざりは、足が不自由で立てないため、尻を付けたまま進む姿を「いざる」と言った。そういう不具を持つ人を扱うので、気遣いからか、聞いたことが無い。