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400字で分かる落語「魚尽くし」

「う」の6:魚尽くし(うおづくし)
【粗筋】 日本橋のお大尽・鰹(かつお)が、深川の遊女屋・海老屋のおはやの所へ通い詰める。幇間の蛸八、芸者のおこぜらと遊んでいたが、おはやが来ないので鰹は自ら探しに行くが、おはやは色男である「江戸川の鯉」の部屋でお大尽の悪口を言っている。これを聞いた鰹と鯉が立ち回りの喧嘩となる。「河童のひく」という侠客と、子分のすっぽんが仲裁に入るが聞かずにいると、隣座敷から簑亀が現れる。
「言わずと知れた背中の亀甲、絵空事なる花菱は、誰に似たのか三茄子富士なところへ飛び出したのも、この出入りをもらうばっかり。潮風ならで恋風か、さあそこが意気地のならいぞと、感心いたしておりやした。身不肖なれどわしが仲人(ちゅうにん)、それとも言い分あるならいつでもたずねてごせえやし。花川戸の河岸で、約束かてえ石の上、甲羅を干して待っております」
 と見得を切ると、一同、「蓬莱屋ぁ」
【成立】 林屋正蔵(1)の作と伝わる。簑亀を飾った「蓬莱」と、松本幸四郎の「高麗屋」と掛けた落ち。演じられたのを聞いたことはない。
【蘊蓄】 歌舞伎の「義経千本桜」で魚を並べるのは「さかなづくし」。昭和40年頃まで、「魚(うお)」は生きている魚で、「肴(さかな)」は食べるものと区別していて、「魚屋」だけが特例として「さかなや」と読むことを黙認していた。

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