400字で分かる落語:「熱海土産温泉利書」
56:熱海土産温泉利書(あたみみやげいでゆのききがき)
【粗筋】 小田和城主・大久保加賀守の家臣・水口三右衛門には二人の娘がおり、姉・はまは近藤弥三郎が恋仲になる。はまに横恋慕する同僚におとしいれられて、水口家は浪人する。はまは弥三郎が江戸へ出たと聞いて探しに行くが、途中で金蔵という男に騙されて吉原に売り飛ばされる。池田宗我という通人が、彼女を身請けして熱海に連れて行くと、そこで妹と再会、父が作る細工物を買ってやるという名目で50両を渡す。やがて、弥三郎が宗我の実の息子であることが分かり、自分を売った金蔵を殺す。小田原に戻ったはまは、弥三郎が嫁をもらい正式に近藤家の跡取となったことを知って、尼になる。
【成立】 三遊亭円朝の作。時代遅れの内容を、柳家喬太郎が要領よくまとめて演じていた。これを改作した「敵討霞初島(かたきうちかすみのはつしま)」は、親不孝の娘だけになってちっとも面白くない。