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400字で分かる落語「討入」

「う」の46:討入(うちいり)
【粗筋】 四十七士が討入。家探しをしても師直の行方が分からない。炭焼き小屋を開けて「もろのお~」と言うと、中から「どうれ~」
【成立】 安永2(1773)年『坐笑産』の「四十七士」。「師直」という声を、家を訪ねる「物申う」だと思って、うっかり返事をしてしまったもの。緊迫感のある場面でまさに緊張の緩和。今は「物申う」は分からないが、「頼もう」は通じるから、演って通じるかも知れない。
 返事をした人物は吉良上野介であろうが、芝居では室町時代に移し、新田を滅ぼした高師直(こうのもろのお)にしてある。彼が塩冶判官(えんやはんがん)の妻に横恋慕し、判官を左遷させたという『太平記』にある事件をそのまま歌舞伎に取り入れている。赤穂だけに塩冶判官というのは素晴らしいセンス。歌舞伎でも恋文を突き返される場面があるが、この文を代書したのが兼好法師。尚『太平記』では、仇討ちにはならない。

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