400字で分かる落語「営業一課の高田君」
「え」の3:営業一課の高田君(えいぎょういっかのたかだくん)
【粗筋】 結婚願望のあるOLの石井ちゃん、部長から見合いの話が来たが、実は社内に好きな人がいる。新婚早々の先輩の家に遊びに行って刺激され、営業一課の高田君にアタックしてみて、ダメだったらお見合い結婚することに決めた。
作戦1:ノートに相手の名前を千回書くと相手に通じる女子高生作戦。書いただけでは伝わらないとわざと落として拾わせる。高田君。ノートを開いて「字ィ下手やな」
作戦2:高田君が落語好きという情報。寄席へ行きたいといえばデートに誘われるはず……高田君、寄席までの地図を書いてくれた。
作戦3:会社のソフトボール大会で手づくりのお弁当を持って行き、海苔で「あいしてる」と書けばどんな鈍感でも分かる……蓋に海苔がくっついて「めし」と書いてあるので高田君大喜び。
最終作戦:屋上に呼び出して告白する。これなら鈍感でも愛されていると気付く……かも。ところが高田君、「何言うてんね。お前、今度の日曜見合いするんやろ。おかしな子やなあ」
部長からの縁談だから車内でも噂になっていたのか……とうとう諦めて見合いに臨む。部長が、「苗字は違うがわしの親戚で、結婚を勧めたら君が好きやと言うんでな、おい高田、入って来い」「ええっ、私の相手って高田君」「ああ、日曜お見合いするのに呼び出すって、おかしな子やなと思うたが……相手が僕って気付かなかったんか……石井君、君、わりと鈍感やな」
【成立】 桂あやめ(3)の自作自演。先代文枝(5)に運転免許を取ることだけを条件に入門、新人賞、女性賞を総なめにし、2003年次の目標を尋ねたら、9月に無事出産することと答えた。趣味は芸者活動と蜘蛛の収集。東京では染松と二人で「姉様キングズ」として寄席に現れたので驚いたことがある。