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400字で分かる落語「雨月荘の惨劇」

「う」の18:雨月荘の惨劇(うげつそうのさんげき)
【粗筋】 取り壊しの決まった古アパート「雨月荘」に幽霊が出る。土建屋の親父に頼まれた腕利きの無法者が幽霊追い出しを引き受けるが、よほど怖い目にあったようで、病院に担ぎ込まれる。そこで、鬼小島弥左衛門という心霊学研究所の所長に頼みに行くと、土曜日はアートフラワーとペン習字の教室があるので、終わってから行きますという返事。
その夜、雨月荘へ行くと、夜中に「うらめしやッ」と大声を上げて幽霊が登場、鉄工所勤務、パチンコ屋の隣に住み、道路工事があるという環境で育ち、大声を上げるのが癖になっているのだ。荒れ寺などは古い幽霊がいて、新参者でやかましいと仲間にしてもらえない。他の幽霊も、狂言師、義太夫語り、法華の幽霊、どれもこれも声を張り上げる。そこに現れた外人の女の幽霊は「静カニシテクダサーイ」と願い出る。練習の邪魔になるというのだ。「あなた、何の練習ですか」「ハイ、私ハオペラ歌手デース」
【成立】 小佐田定雄作。1987(昭和62)年11月21日、桂雀三郎により初演。幽霊は大声で喚き散らし、落ちはオペラを熱唱、以上に体力を要するネタで、雀三郎は1日2度これを演じて死にかけた……と本人が言っている。惨劇はネタの内容ではなく演者なのだ。狂言も、義太夫も、もちろんオペラも、全然うまくないのに、なぜ面白いんだろう。

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