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400字で分かる落語「池田の猪買い」

「い」の18:池田の猪買い(いけだのししかい)
【粗筋】 肉は病気の時の治用に用いられた。池田で猪の肉を食えと勧められ、分からなくなったら道を聞けと教えられる。とりあえず表へ出て、
「これこれこう行けば池田に着くが、どう行けばいいでしょう」
「今言うた通りに行けばええんや」
 猟師に肉を見せてもらうが、新鮮な肉でないとと言われたので「これ新しいか」を連発。朝とったのではもう古いと言うので仕方なく目の前で撃って見せる。「これ新しいか」「目の前で撃ったやないか」と鉄砲の台尻で叩くと、腹立ちまぎれに撃って外れ、猪は気を失っていただけだったので、叩かれて息を吹き返して逃げ出した。
「ほれみい、あないに新しいやないか」
【成立】 宝永2(1705)年『鹿野武左衛門口伝ばなし』の「狩人の貪欲」は鹿を撃つ噺で、この越智の後客が「足は新しいが胴は腐って鼻が向けられぬ」という落ち。安永4(1774)年『露休置土産』の「ゐのししの蘇生(よみがへり)」がほぼ落語と同じだが、。急に飛び出した猪に慌てて弾をこめるのを忘れ、音で気を失う。文化13(1816)年に死んだ桂文治作『仮名手本忠臣蔵』に勘平から猪を買う噺があり、同じ落ち。
 池田は大阪からわずか4里、こんなに田舎なのかと思ったら、今は住宅地だが、猪が出ることもあると情報をいただいた。

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