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400字で分かる落語「追い炊き」2
「お」の3:追い炊き(おいだき):その2
【蘊蓄】 平将門の伝説
様々な伝説があるが、七人の影武者というのは『平治物語』の「義朝獄門」だけにあり、他の記録には見えない。『太平記』巻16では、将門の首をさらすが、3月経っても変化せず、夜になると笑うので、
将門はこめかみよりぞ射られける俵藤太がはかりごとにて
と詠んで成仏させた。「米かみ」「俵」「はかり」と、米屋の道具を並べている。もう一つは、さらし首が笑って宙高く飛び上がり、京都からははるばる関東へ飛んで行った。落ちたのが東京駅近く、大手町の首塚で、ここを粗末にすると疫病などが流行、将門の首を抑えるのに社を作った。敵に目を射抜かれたので片目の意味の「がんち」明神と呼ばれたのが「神田明神」となったと『北条五代記』にある。尚、将門は日本のさらし首第1号。尚、首塚も再開発で取り除こうとしたら事故が相次いで今もそのままになっている。
鍛冶屋を「かね打ち」といったのが、詰まって「かんち」「かぢ」となる。片目をつぶって出来具合を見るのが片目の人の「かんち」の語源。神田の語源は鍛冶屋の方だというのが常識。神田明神の方が将門より早いが、その首をご神体とした。明治維新で天皇が上京することになると、天皇への謀反を起こしたということで、天孫系の神を主祭神とし、将門は脇に追いやられている。
物語では息子と娘が魔力を持って都を襲うことになり、どこまでも悪役である。