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400字で分かる落語「馬」
「う」の72:馬(うま)
【粗筋】 午年で神社へ初詣、絵馬を収めることにしたが、「嫁さんがほしい……家内安全、商売繁盛、無病息災、世界平和……」何もかも書きたいが、スペースがない。そこでまとめて「実現」とだけ書いた。これを見た神様、何を実現するか分からず、表に描かれた絵の「馬」を実現させてしまう。男のもとへ来た馬、狭くて馬が住む場所はないからと断ると、何にでも化けられると言う。そこで女に変身させると、これがなかなか……ちょっと面長のいい女。翌朝仲間が仕事の誘いに来ると、女房をもらったのだと勘違い。名前を聞かれて「名前……お、おうま……っちゅうねん」「どこからもろたんや」「あ……あの、神社の方から……」「神主さんの親戚か。ともかく仕事に行こう。こんな女房がいると、仕事を抜け出したくなるやろな。ねえ奥さん」「いえ、抜け出したんは私の方です」
【成立】 小佐田定雄作、桂枝雀(2)が演じた。1990年正月の『米朝一門顔見世興行』で干支にちなむ落語を出した。実際の放映では「馬の消えた日」が流れたらしい。