見出し画像

400字で分かる落語「恨みの碓氷峠」

「う」の94:恨みの碓氷峠(うらみのうすいとうげ)
【粗筋】 碓氷峠の眼鏡橋、性格暗そうな鉄道マニアしかいない場所。この橋から落ちた女性の死体が発見され、刑事が調べると、実は男で、梓という名で秋葉原の鉄道カフェに勤めていた。「鉄道カフェなんてあるのか」「神保町には落語カフェがあります。マニアしか知らないので、最近のカフェはまともな人は行きません」
 聞き込みに行くと、電車のドアボタンで開閉、飲み物やつまみは切符を買って注文するが、ワゴンを押して歩く女の子から買うこともできる。梓の恋人だった男は、吊革につかまって立ち飲みをしている。
「碓氷峠と聞いて思い出すことはないか」と尋ねると、碓井峠の鉄道の歴史を細々説明する。
「違う。梓について聞きたいんだ」と言うと、中央本線について長々と解説。
 結局男は浅草演芸ホールに行ってたというアリバイを申し立てるが、その日代演が多く、ほとんど総入れ替えの状態だったことを突き付けられると、遂に自白する。
「本当の女性だと思って愛していました。それが旅に出て男だと分かったんです」「告白されたのか」
「いいえ、お昼に横川駅で、峠のカマ飯を食べたんです」
【成立】 柳家小ゑんの鉄道落語。

いいなと思ったら応援しよう!