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400字で分かる落語「英国の落し噺」

「え」の6:英国の落し噺(えいこくのおとしばなし)
【粗筋】 倫敦近くの兵営で宴会が催されたが、そこで客の一人が自分ほどの酒飲みはいないと言う。話を聞くと大したことはないので、大佐が「自分の部下のジョンには酒豪というあだ名があり、4合入りのビールを15本は飲める」と言い出した。それなら飲ませてみようということになってジョンを呼ぶが、本人はどれだけ飲めるか分からないので、ちょっと考えてから返事をすると言うので、1時間だけ待つことにした。戻ったジョンは「頂戴いたしやす」と飲み始めるが、あっという間に飲み切ってしまう。負けた客が悔しがり、手妻か何かがなければ飲める訳がない、1時間の猶予が証拠だと詰め寄る。大佐からも正直に答えろと言われて、「実は1時間の間に、飲めるかどうか、横丁の酒屋で試しにビール15本を飲んで来ました」
【成立】 快楽亭ブラックが『百花園』明治24年3月号に速記を残している。原作が英国にあるかどうかは不明。昭和になってから出来た今村信雄の『試し酒』が同じネタだが、暉峻康隆だけがこのブラックの噺を翻案したものとし、他は中国の類話が元だとしている。ビールの4合は720mlで今の大瓶より少し多い。「試し酒」は5升だから、量だけなら英国の方が多い。まあ、量だけなら私はビールの方が日本酒より余計に飲めるから、どっちが強いのか分からない。

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