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400字で分かる落語「居酒屋」2の1

「い」の20:居酒屋(いざかや)全2回の1
【粗筋】 居酒屋に現れた男、小僧相手に飲み始める。肴を尋ねると、
「けんちん、おしたし、たらこぶ、鮟鱇のようなもの、鰤にお芋に酢だこでございます、ヘエーイ」と言うから、「じゃあ、のようなものを一人前」と言われてからかわれているのが分かった。壁に書いてあるのは何でもできると言うので、「最初の口の上をくれ」
「これは口上です」「鼻でも料理するのかと思った。とせうけって何だ」
「泥鰌汁です。『と』と『せ』に点々が付いてるので濁るんです。『け』ではなく汁という漢字です。「隅をこぼしたのかと思った」「仮名は濁りを撃つと音が変わるんです」
「じゃあ、いに濁りを打つとどうなる。ろは、には……」「打てないのをよっちゃダメです」「バナの頭に汗かいて」「これは鼻です。濁りじゃなくってほくろですよ」
 今度は店に並んだ魚を見て、「あれはタコです」「へえ、赤いタコは初めて見た」「ゆでると何でも赤くなるんです」「郵便ポストは誰がゆでた」「そんな物ゆでやしません。その隣は鮟鱇です。鮟鱇鍋が出来ます」
「隣の鉢巻きしたのは」「あれはうちの番頭さんです」
「あれを一人前、バンコウ鍋が出来るだろう」

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