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400字で分かる落語「居残り佐平治」2

89:居残り佐平次(いのこりさへいじ):その2
【成立】の続き
 柳家小せん(1:盲の)は、岡村柿紅に『白浪五人男』の勢ぞろいの台詞を確認した。「餓鬼の頃から手癖が悪く、抜け詣りからぐれ出しまして、旅から旅を稼ぎまわり」という台詞を佐平次の台詞に入れ、旦那が「なんだか聞いたような文句だね」と言う……見事な演出をしたのはそれから数日後のことであった。(久保田万太郎の話)
 海賀変哲(1923没)は、「小せんが専売の一つに数うべきものであったが、彼病んで再び起つ能わず、この話しもきかれなくなったが……」と記している。
 録音では三遊亭円生(6)が素晴らしい。昭和41年8月27日に録音されたものは勢いのある佐平次で、本当に生きがよくって、テンポもいい。「百席」では勢いはなくなるが、花魁の依頼で手紙を代筆したり、本を読んでやったりする、みんなから愛される佐平治を生み出している。品川駅辺りまで海だったという、本当の品川を知る最後の芸人といわれた。

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